【ソロジャーナル Advent Calendar 2023】今年作った/製作途中の二次創作ソロジャーナルについて振り返る

※この記事は、「ソロジャーナル Advent Calendar 2023」(https://adventar.org/calendars/8685)の、12/23日公開分の記事として書かせていただいたものです。

皆様はじめまして。仮庵(かりほ)と申します。
普段は趣味でTRPGシナリオ……特に特定の版権作品の世界設定を使用した、いわゆる二次創作シナリオを作ったり、Webに公開したりしている者です。
昨年の夏の終わりごろに「ソロジャーナル」という遊びの存在を知り、今年の頭から現在にかけて2作、未完成・未発表の作品を入れれば4作ほど、特定の版権作品の世界設定を使用したソロジャーナル、言わば二次創作ソロジャーナルを作ってきました。
作品数としては多くありませんが、ソロジャーナルのソの字も知らなかった昨年からすれば、全く想像もつかなかった状況です。そのため、今回の企画の場をお借りして、今年作ってきた・もしくは製作途中の二次創作ソロジャーナルについて振り返っていきたいと思います。

 

●「キャプテン・ノボリの翡翠日誌」(https://bpage.booth.pm/items/4486608)
2023年1月発表。わたしが初めて製作した二次創作ソロジャーナルです。
……この作品が生まれた経緯について説明するには、まず、一本のゲームソフトについてお話しなければなりません。ゲームの名は「POKÉMON LEGENDS アルセウス」。超有名ゲームシリーズ「ポケットモンスター」の正式なナンバリングタイトルとして作られたこの作品に、「ノボリ」というキャラクターが登場します。

「POKÉMON LEGENDS アルセウス」公式サイトより ノボリの紹介ページ:

ノボリ | 『Pokémon LEGENDS アルセウス』公式サイト
『Pokémon LEGENDS アルセウス』公式サイト。『ポケットモンスター』シリーズ最新作 2022年1月28日(金)発売!

わたしがこのノボリ(以下ノボリさん)に情緒とか色々なものをメチャクチャにされたのが、すべての発端です。

「POKÉMON LEGENDS アルセウス」のクリア後、わたしはものすごい勢いで「POKÉMON LEGENDS アルセウス」を題材とした二次創作TRPGシナリオを作り、そのままジャンルオンリーオンライン即売会イベントへの初のサークル参加を決めました。
わたしは考えました。イベントに参加するなら、もう一つくらい頒布できるものがほしい。できればノボリさん関連の何かが。というかノボリさんの日常が見たい。本編では書かれない、何てことなかったり結構大変だったりする日常を浴びるほど見たい。

そしてふいに思いつきました。
「なら、ノボリさんの日常を綴るソロジャーナルを作ればいいんじゃね?」と。

そう。ソロジャーナルはランダム要素から自分だけの物語を作るゲーム。つまりノボリさんの日常をテーマにしたソロジャーナルを作れば、それを遊んだ結果としてのプレイログ……ノボリさんの日常を書いた二次創作が無限に作れる!!

というわけで、「キャプテン・ノボリの翡翠日誌」のコンセプトは、「推しが過ごした日々の日常を無限生成する」です。

原作「POKÉMON LEGENDS アルセウス」の舞台は、通常のポケモン作品よりも遥かに昔の時代。そのため、プレイヤーは「現代のポケモン世界に生きる歴史研究者」となり、発見された史科……ノボリさんの日記を読み解くことで、かつて起こった出来事や昔の暮らしの様子を明らかにしていき、その過程を「研究記録」として記録していく……というスタイルに自然と落ち着きました。
残された史科からわずかな歴史の手がかりを掘り起こし、その手がかりがもたらす空白の中身を多角的に類推して文章に起こす。そう考えると、ソロジャーナルと歴史研究という題材には、思ったよりも親和性があるかもしれません。もっとも、製作当時はそんなこと全く考えていませんでしたが……。

今、改めて読み返してみると、わたしが一番最初にソロジャーナルに触れた作品である「魔法骨董ここに眠る」からの影響がかなり強く出ていると感じます。プロンプトの書き方などは特にそうですね。
ともあれ、この作品の完成と頒布をきっかけに、わたしは二次創作ソロジャーナル自作の沼に親指を立てながら沈んでいくことになります。

 

●「挑戦! バトルサブウェイ」(https://talto.cc/projects/MrNO29HxHz0NdJhH23a2u)
「キャプテン・ノボリの翡翠日誌」の頒布を始めてしばらく経った頃。さらにいくつかのソロジャーナルをDLしたり遊んだりしながら、わたしはふと思いました。

「今度は自創作キャラをコンバートできるようなソロジャーナルを作りたいなあ」

頒布されているソロジャーナルの大部分は、プレイヤーが語り手である主人公の外見や人となりを自由に想像できるように作られています。しかし、「キャプテン・ノボリの翡翠日誌」はそのゲーム形式上、「語り手は歴史研究者である」という縛りがあり、さらにプレイログ上でスポットライトが当たるのが主人公ではなく特定の版権キャラであることから、自創作キャラのコンバートは難しく、仮に行ったとしてもあまり旨みがないゲームデザインになっていました。
そのため、「キャプテン・ノボリの翡翠日誌」ではできないことをやろうと、「自創作キャラのコンバート」を前提として製作した作品が、「挑戦!バトルサブウェイ」です。
「バトルサブウェイ」は、ポケモンシリーズに登場するエンドコンテンツの一つである「バトル施設」。その中でも「ポケットモンスター ブラック・ホワイト」に登場するものです。実は全ての元凶たるノボリさんはこの「ブラック・ホワイト」が初登場作品なのですが、まあそれはさておき……。
プレイヤーはこのバトルサブウェイに挑むポケモントレーナーを作成、または自創作キャラをポケモントレーナー化して、ゲームに臨みます。このとき、「キャラクターが最も信頼している相棒のポケモンを1匹だけ選ぶ」という項目がありますが、これは創作文化に広く浸透している「うちの子手持ち妄想」(もし自分の創作キャラがポケモントレーナーだったとしたら、どんなポケモンを連れているだろう? という妄想)を意識したものです。1000体を超えるポケモン達には本当に様々な種類がいるため、「そのキャラがどんなポケモンを信頼し、共に歩んでいるか」ということは、それ自体がキャラクター性の表現になるのです。

「バトル施設」はゲーム上はいわゆる「ガチ勢向け」の場所ですが、本作はあまりポケモンの戦闘システムに詳しくない方でも遊べるようにと考え、ダイスロールだけのシンプルなルールになっています。ただ、ポケモンにおける戦闘の醍醐味は何か、と考えたとき、「行動を選択する際の手に汗握るような緊張感」は絶対に外せないと思ったので、一両進むたびにダイスを振って勝敗を決める、という形式になりました。
遊んでくださる方が、祈るような面持ちでダイスを振ってくださっていたら嬉しいです。

 

●「ヒスイスリープ ~ノボリさんとあなたがよく眠るためのソロジャーナル~」
こちらは未発表作品です。「POKÉMON LEGENDS アルセウス」……というかノボリさんと、今年サービスが開始された運営型アプリゲーム「ポケモンスリープ」から主な着想をいただいています。
そう。またノボリさんなんだ。すまない。
その存在だけで一人の人間に二作もソロジャーナルを作らせるなんて、ノボリさん……恐ろしい男……。

「ポケモンスリープ」は「カビゴン」というポケモンをフィーチャーした作品で、端的に言うと「カビゴンに木の実や料理を食べさせてどんどん大きくした上で、プレイヤーが長時間の睡眠を取ることにより多くのリターンが得られる」というゲームなのですが、この要素を可能な限り単純化した上で、ゲームシステムやプロンプトに取り入れています。また、自作のソロジャーナルでは初めて、簡単な数値の計算を扱う作品になっています。

「ヒスイスリープ ~ノボリさんとあなたがよく眠るためのソロジャーナル~」は、来年1月27日開催予定の「POKÉMON LEGENDS アルセウス」Webオンリー即売会「翡翠奇譚参」にて頒布される、「翡翠ノボリネップリアンソロジー」に掲載されます。詳しい作品内容については、ぜひそちらをご覧いただけますと幸いです。

 

●「ハイデリンの声」
こちらも未発表であり、現在製作中の作品になります。
これまでの作品は、ポケモンシリーズを原作とした二次創作ソロジャーナルでしたが、「ハイデリンの声」の原作は、MMORPG「FINAL FANTASY XIV(ファイナルファンタジー14)」です。プレイヤーがゲーム内で操作する自キャラの人となりについて、より深く想像し、掘り下げる手助けになることを製作上の目的としています。
本作の最も大きな特徴は、原作の舞台となる架空世界「エオルゼア」で実際に用いられている(という体で、同作の設定資料集に紹介されている)占いをゲームシステムの一部に取り入れていることです。もっとも、我々の世界には存在しないプレイングカードを用いる占いであるため、完全に同じことができるわけではないのですが……。
ファイナルファンタジー14は、来年TRPG版の発売が予定されているため、そちらが発売されるまでには完成・公開出来たらいいな、と思っています。

 

●おわりに
以上、未発表作品を含めて4作のソロジャーナルについて振り返ってみました。

二次創作ソロジャーナルの特徴は、当たり前の話ですが、やはり「原作が存在する」ことです。原作の魅力的な諸要素をいかにソロジャーナルのゲームシステムとして取り入れ、再現するか、というのは、どの作品を作っていても非常に魅力的な、取り組みがいのある課題でした。
二次創作TRPGシナリオを作っている時も、同じようなことを考えてはいますが、ソロジャーナルの場合は根幹となるゲームシステムの部分を(簡易的なものとはいえ)いちから作るので、より「原作再現」の自由が効くのも、作っていて楽しかった所のひとつです。
ソロジャーナルはゲームであると同時に、「創作支援ツール」としての側面も持っています。これは二次創作とも非常に相性のいい特徴であると感じているので、二次創作を前提とする「二次創作ソロジャーナル」もこれから増えてくれたらいいな……と、わたし個人の願望を書き記して、締めとさせていただきます。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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