いずれの途を選べども(´ー`)

プレイログ

 

穴を掘っている。
掘り続ける。
手を止めることはできない。
まんまるな月が、見張っているから。
ぽたり。落ちた汗がスコップを濡らした。
拭っても拭っても汗は出てきた。
やがて訪れる薄ら闇。月に叢雲。
じっと見つめる先は地面に横たわる彼がいる。
これを埋めなければならない。
そんな声がする。
よく知っている声だ。
家族か、あるいは親しい彼らの声だったかもしれない。
声はさらに、嘲笑い囁く。
悪人も天国に行けるだろうか。
私は殺した。
名誉のために殺した。
それを罪だと言われたら、私はきっと悪人で、きっと天国には行けないだろう。
けれども。
はみ出し者の彼を殺したところで、きっとだれも罪だと言うまい。
ならば私が天国へ行く途もあるのかもしれない。
地面に横たわる彼は、私自身だ。
目を閉じる。重圧、プレッシャー、不安に気付かないように。
大丈夫。大丈夫だ。
私の選択は間違っていない。
なぜなら誰も私の生を望まなかった。
家族でさえ。
親しいと思っていた彼らでさえ。
私は皆の望みを叶えたのだ。
それが私なりの名誉だ。

ならば私は、私の死を埋める必要はあるのか。

ようやく穴を掘る手は止まった。
私は目を開く。
雲は晴れ、まんまるな月が私を照らす。
見張っていると思っていたが。
どうやら見守っていてくれたらしい。
嫌な汗は消えていた。
「何してるんですか?」という声に振り返る。
声の主が誰かは知らないが、私は笑みを湛えて答えた。
「どうやら私は死という選択を後悔していたらしい。だが気づいたのだ。私の選択は間違いではなかった。私は私の名誉を守った。きっかけは他の誰かだったかもしれない。きっかけがなければ選ぶことのない選択だったかもしれない。けれども私は私の為に選んだのだ。その選択を。私はそれが誇らしい。だからどうか、そんな悲しい顔をしないでほしい」
私が気づくことのなかった、私を愛する人。
私に問うあなたは、きっとそういう存在なのだろう。

 

穴を掘っている

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紹介処で見つけて面白そうだったので勢いでやってみたら選択肢の変更・改編の上、加筆したくてしたくてたまらなくなりました。面白かったです。(´ー`)

 

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