【DC44 Shakedown】ダディ・オー【プレイログ】

はじめに

『DC44 Shakedown』は、対戦型SFレースTRPG『Double Charger 44』のマスターエディションに収録されているソロジャーナルRPGです。AGSマシン(未来の乗り物)と出会い、練習と調整を経て大会へ出場するまでの物語を体験できます。

本プレイログは私、カラミティ明太子が実際にプレイした結果を元に書き起こしたものとなります。

ソロジャーナルという媒体自体がそもそも初めてとなるので、書き方の作法やそもそものソロジャーナルというものへの受け取り方が違うなどあるかもしれませんがご容赦いただきたく存じます。

何か不備などありましたらご指摘いただけますと次回以降の参考とさせていただきます。


プレイログ

 

DC44レースについて?

また随分大雑把な質問じゃねえか。

まぁ確かに俺はそこそこな場数は踏んでるし、色々な連中と走ってきたから語れる話にゃ事欠かねェ。

アイシクルシティでアブない走りを見せたコンゴウランナーⅡのアイツでもいいし、コロッサスマウンテンでやり合ったワイルドアックス5thの話でもしてやろうか?

……何?昔の話?

お前さんも物好きだな。いや、物好きじゃなきゃこんなとこまでわざわざ話を聞きに来ねえか。

OK。それじゃあ聞かせてやるよ。

まずはどこから話そうか──

 

①出会い

  • マシンとの出会い:6(中堅メーカーまたはショップの高価な最新型マシンを新品で買った。マシンのクオリティ+6)
  • マシンの長所:1(旋回性能に優れる)
  • マシンのデザイン:2(曲線の美しい丸みを帯びたデザイン)
  • マシンのカラー:5(オレンジのボディカラー

クオリティ:0→6

 

そうだな、まずは俺がマシンと出会ったいきさつを話そう。

あの頃、俺はちょうどそこそこな額の金を持ってたんだ。

宝クジ?いいや違う。俺のラッキーナンバーはいつだってハズレだ。当たった試しはねえ。

ま、色々あってな。……色々のところは深く詮索するな、いいな?

 

とにかく、俺は金を持ってた。まだあの頃はな。

昔は俺だってどこそこのチームで走るAGS4レーサーだったさ。本当だぜ?

当時の雑誌にゃ俺のインタビューが載ってたりしたもんさ。新聞の4コマ漫画よりも小さいスペースだったけどな。

 

あの頃、俺はチームから抜けてフリーになったばかりだったんだ。嫌気が差しちまったんだよ。チームって中に自分を押し込めるのがな。

金やマシンの心配が無いのは悪くなかったが好きなように走れねえ。俺はそれが次第に嫌になっちまってな。表彰台に乗った後、そのまま戻らねえで出ちまったんだよ。

 

とはいえAGS4レースの世界から抜けるなんてのはまっぴらごめんだった。だから俺はすぐにショップへ行った。

住む場所や仕事なんて考えてなかった。とにかく俺にはマシンが必要だった。

俺を乗せて、風を切って前へと進み、俺以外の全てを置き去りにする相棒が必要だったんだ。

 

カタログを眺めてる間、ガラにもなくワクワクしちまったよ。まるでクリスマス・イブのガキみてぇにな。

今まではチームから与えられたマシンに乗っていた。けど、もう違う。

俺が自分で選んで自分でチューンする。

正真正銘、俺のマシンだ!

 

カタログの中からいくつか見繕って実際にマシンを眺めて、俺は一目惚れしたよ。

スフィアホエールは知ってるだろ?あれのアクセサリが色々増えたマイナーチェンジモデルだ。

正式名称は『スフィアホエール・Aエディション』。けれど俺はそんな名前じゃ呼ばねえ。

親しみと愛情。そして敬意を込めて、俺はコイツをこう呼ぶ。

『ダディ・オー』ってな。

 

こいつの良いところはとにかく従順ってところだ。

スラスターを繋ぐパイプが太く、そしてより口径が大きいやつになっている。

どういう意味か分かるか?走れば誰だって「あと少しだけ傾けば」ってのを感じるんだ。

もちろん、そんなの普通はどうってことねえ。だがな、長いストレートの後のコーナーなんかじゃインの速度をミスって泣く泣くコーナーを膨らむなんてのはザラにある。

そんな時にハンドルを握りながら俺達は呟くんだよ。あと少し、ってな。

ところがこいつはすげえんだ!

そのもう少しってところに気持ち良くハマってくれる。コーナーへの食いつきが驚くほど良いんだ。

マシンが俺の体そのものみてえに微細な傾きを表現する。

スムーズに……良く手入れされた女の髪を指で手櫛をするみてぇにスムーズにコーナーを抜けていく感覚を感じたことはあるか?

無い?かわいそうに!

コーナーでまごついてる連中を尻目に抜いていくあの気持ち良さったら、例えようのないくらいにたまらねえもんさ。

 

それと忘れちゃいけねえのがコイツのブレーキ周りだ。

ブレーキパッドはさらに軽く、そしてコンピューターの圧力感知もより精密。

そして何よりレスポンスがとにかく速いんだ!

例えば今お前は200km/hで飛ばしてるとする。いいか?200だ。

もちろんブレーキなんて踏んでもすぐには掛からねえ。

けれどこいつは違うぜ。少しペダルに圧をかけるだけでブレーキは作動する。そして、狙った速度にぴたりと落ちる。

200からコーナー手前で140まで落とす。他の奴らは120や110まで下げるかもしれねえ。

だがダディ・オーは140で十分!そのままただ流れに身を任せるように、マシンをほんの少し傾ける。体にかかるGの重さが苦痛じゃない。心地いいんだ!まるで女が俺に跨ってるみてぇに、いや、それ以上だぜ!

俺の世界は変わったね。

なんとなくで連絡先を交換した後にカフェで口説いた女を抱いたあの夜よりも、このマシンを走らせてるのが最高って気づいちまったんだ。

コイツはこの世のどんな女よりも刺激的で、そしてどんなドラッグよりも俺をヤバくさせる悪魔のマシンってワケさ。

 

テスト走行だったが、俺は何周も走らせた。もうコイツを買うって決めてたからな。

カードで一括。残額がいくらになったかなんて気にしねえ。

とにかく、俺にはコイツが必要だった。

 

➁練習

  • 練習の成果:2(かなり上手くなった。練習すれば大抵のコースは走れそうだ。マシンのクオリティ+3)
  • マシンの短所:5(非常時のパイロットの安全性など)

 

結論から言えば、コイツを選んだのは間違いじゃなかった。

元の性能が良いってのもあるが、それにしても調子が良すぎるくらいに俺とダディ・オーは息ぴったりだ。まるで何年も乗っていたように俺はコイツの感覚が手に馴染んだ。

強いて欠点を挙げるとするならダディ・オーは繊細すぎるって点だ。要するに、ダメージシールドジェネレーターに不安点があるってことさ。

元々使えるエネルギーの総量は決まってる。レース中に突然エネルギーの総量が増えたりはしねえ。だから使えるエネルギーをより最適に配分するためにパーツを吟味するもんなんだがな、このマシンはそりゃもう限界まで走ることを突き詰めてる。

その結果何が起きるか?大飯喰らいのシールドジェネレーターが割りを食うってわけさ。あえてこっちに回すエネルギーを必要最小限のギリギリまで抑えて速度と足回りをより尖らせる。

簡単な話だ。ぶつからなきゃいい。

俺のケツに突っ込めねえくらい引き離してやればいいのさ。

 

③チューニング

  • 作業環境:5(元から技術はあるので自力でやった。マシンのクオリティ+1)
  • 発生した問題:6(あなたの家族や友人が、過激なAGSレースの挑戦に反対していた。最悪な場合、レースが原因で人間関係を壊す可能性もある。)

 

さて、アンタもAGSレースを知ってるなら走る以外の醍醐味も分かってるよな?

さっきからアンタの視界にちゃんと映ってるコイツ……そう、俺のマシン。さっきから話してるダディ・オーはコイツさ。俺が色々といじってより相性バツグンの“良い子ちゃん”に仕上げたんだぜ?

ま、要するにマシンのチューニングってのも楽しみの1つだ。

例えばオフの日に1日掛けてブーツの手入れをしたりするようなもんさ。油汚れが顔につくのは御愛嬌。自分で触って、分解して、眺めて、重さを知って、重心を確かめる。パーツ1つ1つを肌で感じるんだ。

幸い俺はこの手のことに詳しくないわけじゃねえ。昔はよく親父の車いじりを手伝ってたからな。

パーツを1ついじってはサーキットを走って具合を確かめる。その積み重ねだ。そうやって少しずつ、マシンをより自分好みに仕上げていく。

今のダディ・オーはどうかって?

そうだな……人生の伴侶って言葉、あるよな?

あれがどういう意味か知りたけりゃ、コイツに乗ればすぐ分かるぜ。

 

ま、そんなこんなでやってはいるけどよ。

少し厄介なことが起きた。いや、起きてるって言うのが正しいか。

俺が性懲りもなくAGSレースをやってることが兄貴の耳に入ったんだ。

兄貴は昔から俺にレースを辞めさせたがってた。チームから抜けて俺が走るのを引退したと思っていたらしい。だがこうして俺がダディ・オーを仕上げていくのを風の噂で耳にしたんだろうな。

兄貴に言われたよ。「いつまでそうしてるつもりだ」ってな。

俺は言ってやったさ。「死ぬまで」って。

俺達のお袋はAGSレーサーだったんだ。

前世代のレーサーだ。親父はその専属メカニック。つまるところ、俺達兄弟はAGSレースのサラブレッド。

それで、俺が6つの時にお袋が事故で死んだ。地球じゃない外宇宙、惑星ムィ・ズーのサーキットで盛大に事故ったらしい。

俺はそのことをぼんやりとニュースで見たのを覚えてる。あまり実感は無かったがな。だが兄貴は違った。それと親父も。

兄貴はレースへの興味を無くした。そして、どんどん離れていった。親父もそうだった。メカニックを辞めて街の小さな修理工として稼ぐようになった。

だが、血は争えねえってな。

俺を見ろ。ご覧の有り様。俺はレースにどっぷりだ。

正直、俺はベッドの上で死ぬなんてことはこれっぽっちも望んでねえ。

死ぬならマシンのシートの上。サーキットのコースを走るその最中に俺の意識もコイツに置き去りにされてえんだ。

あぁ分かってる。多分俺はAGSレースの中毒だ。よくある話だぜ。AGSレーサーはその過激性と刺激にやられてレースの中毒になるってのは。ご多分に漏れず俺もそのお仲間ってワケ。

 

④結末

クオリティ:10

グレード:A

「良いマシンだ。相手にとって不足はない」

 

──さて、思ったよりも長話になっちまったな。

わざわざ俺のヤサまで来てこんな話に付き合ってくれるとはご苦労なこった。

来週は俺がフリーになってから──ダディ・オーを愛車にしてから初のオフィシャルのレースへの参加だ。

昔馴染やチームの連中も大勢参加する。あいつら、きっと驚くだろうぜ。

良ければこの話の続き……来週のレースを見に来るか?俺の知り合いってことで関係者席を用意しといてやるぜ。

なんだって、もうチケット取ってた?

ハハッ、何だよお前、本当にAGSレースが好きなんだな!

じゃあ来週また会おうぜ。

勝利者インタビューでこの続きを聞かせてやるからよ!


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