Black Hole Blues 宇宙飛行士ライトの決断

プレイログ

このプレイログについて

Black Hole Blues」は、ブラックホールに呑み込まれそうになっている宇宙船の乗員となって、脱出のためにタスクをこなすソロジャーナルです。

状況説明

探査船S.S.オデッセイ号は現在、混迷と混乱の中にあります。ブラック・ホールの重力渦に捕らわれて引きずり込まれつつあるだけでなく、その超質量は現実を歪め、正常な因果すら狂わせています。

思考をやめるな。
わたしはこの緊急事態を脱出するために、可能な方法をすべて試します。
S.S.オデッセイ号が重力の渦に飲まれて崩壊するまでに、残された時間は「200分」。画面には14のタスクが表示されています。これを一つ一つクリアしていくことで、ブラックホールからの離脱を目指します。

わたしはライト。S.S.オデッセイ号の乗員の一人です。
現在、地球の資源は枯渇し、悪天候による食料難が世界を巻き込んでいます。S.S.オデッセイ号は今回の航行で、地球の資源事情・食糧事情を大きく改善するアイデアや技術を複数発見しています。我々の帰還が、多くの人命を左右します。
わたしたちには、帰らなければならない理由があります。それは、わたしたちの安寧や安心よりはるかに重要なものです。

思考をやめるな。
わたしはライト。
わたしは、ライトであることを手放しません。
わたしは、この船を通常空間に復帰させます。
その過程を、この音声ジャーナルに残します。

ジャーナル

【残り200分】

メインシステムの再起動/3…部分的成功。20分経過。AP2獲得。

ブラックホール効果/45:特異点パルス…AP-4。

わたしはライト。
メインシステムの再起動を試行。ファイルの破損が多く、一部のシステムファイルが「おいしいチョコチャンクスコーンの作り方」に置き換わっているのを確認。ブラックホールによる因果の乱れが、データを歪ませています。
時間の許す限り修復作業を続けましたが、特殊パルスが船内を駆け抜け、あらゆるデータを破壊しました。再起動に関連する作業を放棄します。

TIME:20/200 AP:0

【残り180分】

人工重力発生装置の再構成/3…部分的成功。40分経過。AP5獲得。

ブラックホール効果/55:感覚が漂流状態になる…TIME+10。

わたしはライト。
通常の感覚が失われ、激しい宇宙酔い状態が続いています。この状態を改善するために、人口重力装置の再構築を行います。途中で何度か意識を失いかけたため非常に時間がかかりましたが、重い音を立てて装置が駆動しつつあります。
現在、わたしは前を向いて歩けるようになりました。これは、比喩的な意味ではありません。

船内の状況が安定し、無事な冷凍睡眠室から乗員を救出することができました。S.S.オデッセイ号の帰還のために、乗員たちの力を借りることが可能になります。
これをもって「フェイズ1:安定化」を達成したものとし、次なる段階である「フェイズ2:修理」に移行します。

TIME:70/200 AP:5

【残り130分】

核融合炉の再起動/4…部分的成功。40分経過。AP5獲得。

ブラックホール効果/12:空間の交錯状態…TIME+10。

わたしはライト。
すぐそばにいる乗員に声が届きません。パネルに伸ばした腕がオモチャのばねになっています。歩けば歩くほど混迷が深まって、通常性が失われていきます。時間、動力、そして現実さえ、この船から失われていきます。
核融合炉を再起動し、動力の供給を確保すれば、この状況も変わるはずです。ぐちゃぐちゃに乱れた空間を今抜けました。レンチをしっかり持っています。頑丈な機器の操作盤は、多少手荒に扱っても壊れないはずです。

核融合炉が動き出しています。完全ではないですが、動力を利用できるはずです。

TIME:120/200 AP:10

【残り80分】

超光速航行システムと超次元推進エンジンの修理/5…完全成功。60分経過。AP10獲得。

ブラックホール効果/41:過去共鳴…AP1獲得。

わたしはライト。
動力が復帰したことで、時間を掛ければ十分な推進力を得ることができる見込みが立ちました。
何かに変質しどろどろに柔らかくなっていたベッドに埋まっていたエンジニアを引っ張り出し、この管制室で航行システムの修復を急がせているところです。

時間軸が大きく混乱しています。現在の船内では、われわれが過去に交わした会話が無限に反響していて頭がおかしくなりそうです。頭をかきむしるわたしをよそに、エンジニアはどこかのんきにチェックを続けています。

「こんなに楽な仕事は久しぶりさ。わからないところは過去の自分が教えてくれるからね」

船のきしみ。きこえますか?
重力の乱流が意識を持っていきそう。わたしは霞む目を細めてごまかし、目いっぱい普通に笑いました。

「それが終わったら、船のオーブンでスコーンを焼いてやるわよ。ほろほろに崩れる、チョコチャンクスコーンをね」
「なんでぼくの好物を知ってるんだい?」
「さあね、それもあなたの過去が教えてくれたのかも」

轟音が鳴り響いています。
これは、ブラックホールがS.S.オデッセイ号の船体に牙を立てる音……では、ない。
それは確かなことです。

「エンジン点火カンリョウ」

がらがらに割れて歪んだ合成音声。聞き間違いじゃない。過去の声でもない。
何が完成したって?
今、合成された重力が慣性に従って変遷し、船中の人員はみな勢いよく後方に転んでいきました。
そして、重力と異常性の渦が、船の中からするすると解けて流れていくように消えていく――

フェイズ2:修理、達成。
フェイズ3:脱出、達成。

合成樹脂の冷たい床から起き上がって、誰かが快哉を叫んだ。
わたしもそうしましょう。この宇宙酔いから復帰ししだい、跳ねあがって、歌でも歌って。

コメント

タイトルとURLをコピーしました