■このプレイログについて
『ファンタジーライフRPG オトギグラシ』のプレイログです。
このプレイログは、TRPG版の舞台として用いることもできます。
■セットアップ
種族:小人 動機:金銭 仲間:雇用 名前:ゼニス
僕の名前はゼニス。
商いをしてる小人の一族の末裔さ。
商会の権利を父……老ゼニスは僕に明け渡さない。
それに業を煮やした僕は、安定にしがみついた父を出し抜き、より大きな事業に乗り出した。
つまり、メガリスの開拓さ!
ゆくゆくは町を運営する大商社にしてみせる。
そう意気込んで、僕は新事業に賛成した少数の優秀な従業員とともに船に乗ったんだ。
■はじまりの地
♡5【筋骨隆々の生物】
さいわい、嵐にあうこともなく僕らの船はメガリスにたどり着いた。
そして、海流をみつつメガリスの港町を迂回し、別の岸を探す。
ほら、港町はいくつあってもいいだろ?
商売といえば港さ! 僕らは港町を作ることにしたんだ。
それには船が安全にたどり着ける場所じゃないといけない。
だから、こうして愛船「リトルマルタ号」から降りることなくメガリスの岸を眺めているわけだ。
そうして半日、航海士のハミルの見立てで港を作るのに最適な湾を見つけた。(それで、この浜をハミル湾と名付けた)。
しかし、いよいよ上陸だ、と思ったのも束の間、リトルマルタ号が座礁するというトラブルに遭う。
ハミルの見立てが悪かったのか?それともかじ取りをミスったのか?と思ったが原因はまったく違った。
なんと、船の下にもぐりこんだウミガメが、我らがリトルマルタ号を”おんぶ”して打ち上げてしまったのだという。
そんなばかな!と思ったが事実だ。
筋骨隆々のダイヤモンドのような筋肉をしたウミガメが僕らの乗っていた船を載せたままのたのた歩いていたのだ。
リトルマルタ号の後部が浜に打ち上げられてひっかかり、それでようやくウミガメはおんぶをやめて去っていった。
……ひょっとしたら気づいていなかったのかもしれないな。
やれやれ、メガリスは思ったより厄介な場所なのかもしれない。港町を作るにしても、あんな亀がいたらすこし危ないぞ。
■風の吹く平原
♢8【電気を蓄積した結晶】
トラブルが続く。次のトラブルはなにかって?
めちゃくちゃここが寒いってことだ!
浜から出てすこし歩くと開けたところにでて、すぐに環境が変わった。
さっきまでホットなビーチだったのに、1キロも歩かないうちに雪景色になってしまった。
そして幽霊が現れた。
どういうことかというと、バチバチ光る奇妙な物が遠くに見えたんだ。
ひょっとしたら幽霊じゃないのかもしれないが、怪しいものには近づかないに限る。
僕らはとりあえずこの寒々しい平原から去ることにした。
■魔獣の巣
♤A【魔法の刀剣】
去ることにしたはいいが、あまりうまくいかない。
来た道を戻ってリトルマルタ号に帰ればいいだろうって?
座礁しているから、戻すのも一苦労なんだ!
ハミルたちがうまいことウミガメを誘導して船をなおすとか言っていたがどうだかわからない。
だから僕らのチームはその間に食えるものとか、商品になりそうなものとかを探しておこうとして、あの極寒の平原に行っちゃったってワケ。
というわけで、平原以外のところをさがしてウロチョロしていた。
こんなときは他の種族がうらやましくなる。なにせ歩幅がぜんぜん違うからね!
身長50センチの僕らにとって一歩はおおよそ30センチ。他の種族の半分以下だ。極寒の地ですぐにでも他のとこに行きたいときにこのハンデは相当きつい。
ちなみに連れてきた従業員は全員小人だ。巨人を雇っておけばよかったな……。
そんな後悔をしながらあるいていると、雪景色のなかに墓標のようなものが見えてきた。
ようなもの、というのは、近づいたら墓標じゃなかったからだ。それは地面に突き立った剣だった。そして、しゅうしゅうと周囲の雪を溶かしていた。
魔法の熱を発しているんだ!
僕はそれに駆け寄ろうと思った。だって寒いからね。
でも、同行していた秘書のエレーナが僕を引き留めた。
「社長! あれはきっと危険です!」
その言葉に救われたのだろう。
よく見ると、地面にはなかば灰になった動物の骨がいくつもあった。おそらくはあの魔剣に斬られたに違いない。
暖かい熱は恋しかったが、燃やされてはたまらない。
ここも僕らは迂回することにした。
■キャンプ地
♡J【美しい毛並み/鱗の生物】
朦朧としながら雪原を歩いていると、美しい毛並みのトナカイを見つけた。
もちろん、最初は僕らも警戒したが、トナカイはこちらに突進してきたり、敵対的な行動をとることはなかった。
もしかしたら飼育可能な大人しい種なのかもしれない。
僕らはトナカイの後をつけた。何かしら食べれるものが見つかればいいなと思っていたんだけれど、これは大正解だった!!
トナカイが向かったところには温泉があったんだ。
それまでの苦労で倒れそうだったから、僕らはとりあえずこの天然の風呂に入った。ああ、エレーナとは何もなかったと記しておこう。岩を挟んで今後について語り合うくらいはしたけれど。
■収穫地
♤K【古の超合金】
温泉からでたあと、ここら一帯を調べようと思った。
つまり、この温泉地帯がどこまであるのかってことを。
そうしてぐるりと巡ったところで、僕らはとんでもない発見をした。
アダマンタイトでできた古代の建築物。
ここは天然の温泉じゃない。遺跡の一部だったんだ。
僕は父が扱う商品のなかで一番高いものは古の超合金アダマンタイトだと思っている。それは小人の手のひらほどの大きささえあればひと財産築けるはずのものだ。
それが、目の前に建物としてそびえたっていたんだ!
■ヌシの縄張り
♤6【古の保存食】 出目3【巨獣の病】
ここまできたら建物の中も確認しないと、という好奇心を抑えられなかった。
僕らはその超合金製の遺跡に入り、中を物色した。
そうして、生きているもの?を見つけた。
彼はジドーハンバイキと名乗る箱状の物体だ。
僕らが遺跡に入ってしばらくして見つけ、そして僕の腹が幸運にも鳴ったおかげで、向こうから語り掛けてきた。
『お腹がすいているのですか? こちらは自動販売機です。そちらのコインを挿入していただければ、このラインナップの商品を販売できます』
”そちらのコイン”とは、近くに置いてある貨幣のことだ。古の硬貨。アダマンタイトではないが、ほれぼれするほどに見事な彫刻が刷られている。
僕はジドーハンバイキの意味を理解した。自動販売機。すばらしい。従業員に金を払わなくていいだなんて。
さっそくコインを拾って入れて、出てきたモノをおそるおそる見てみる。カップ状のなにかだ。蓋を半分ひらくと、麺を固めたようなものと粉が入っていた。自動販売機によれば、お湯をいれて三分まてば食べれるという。
ためしにその通りにしてみる(お湯は自動販売機から出てきた)と、かぐわしい香りが漂う。空腹に耐えきれず口に運ぶと、とてもおいしい。
千年前の保存食なのに食べれるってすごいことだな。
エレーナと分け合いながら、自動販売機と会話を試みる。
そうすると、断片的にだが、ここら一帯の状況がわかってきた。
なんと、温泉だけでなく雪原一帯の下に、巨大な都市機構が埋まっているという。魔力による熱管理システムとやらが暴走して、凍てついてしまったらしい。
この温泉だけ運よく機能が残されているが、このままではいずれこの温泉も(自動販売機も)熱がいきわたらなくなってしまうだろう、と。
これを聞いてエレーナは意気消沈していたが、僕はこれをチャンスだと思った。
だって、この極寒地獄を何とかする方法があるかもしれないんだ。
古の都市機構を蘇らせることができれば、一帯の熱も戻るんだろう? あのトナカイには困ったことになるかもしれないが、そこは他の手でなんとかしよう。
■村の名は
ともかく、次の一手は決まった。錬金術士を招聘して、都市機構を蘇らせる。そして、ここを港にするんだ。
その名も『オールド・アダマンティウム』。
これが成功すれば、僕は父を超える……いや、それどころか世界に名だたる大商会を率いることになるだろう!
■おわりに
ゲームデザイナー本人が作ってみました。
ルールブックにあるサンプルプレイログは誌面の制約上(2ページに収めたかった)あまり書けませんでしたが、こんなふうにいくらでも膨らませて書いてもOKです!
みなさんのプレイログもお待ちしています!
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