ソロRPGの話をしよう!

その他

いきなりですがこれを含む私の記事では、国内での「ソロジャーナル」という言葉が、「ジャーナルを綴って遊ぶ、一人プレイに対応したRPGいろいろ」くらいの意味であるという前提で話を進めていきます。なので、特にjournalingと銘打たれていないゲームもソロジャーナルとして扱っています。
たとえば「Four against darkness」のような、ゲームのシステム的にジャーナルを書くことが考慮されていない感じのソロRPGは、個人的にはちょっと違うのかなと思っています。でも、このゲームの4人のパーティの行動や詳細な戦闘を楽しみつつジャーナルも書いてるなら、それはソロジャーナルでいいんじゃないかなとか……記録や物語はあらゆる冒険の中にありますし……

以上を踏まえて海外の、ジャーナルを書くことがある程度前提になっているソロRPGの、特に有名なものや好きなものを語っていきたいと思います。

ironsworn(アイアンスウォーン)

舞台は古き地を旅だった民たちが住まう土地、「アイアンランド」。
鉄の誓いを立て、己の目的のために苦難を乗り越える冒険者たちを、人々はこう呼んだ……「アイアンスウォーン」と。

公式サイト:https://www.ironswornrpg.com/
基本ルールPDF(無料):https://shawn-tomkin.itch.io/ironsworn

まさしくファンタジーソロRPGの金字塔、ソロRPGで何かやりたいって話になるとだいたい「ironswornでできるよ」という返事が返ってくるとか。基本ルールはCC4.0下で全文無料公開されていて、様々なハックやバリアントやデータ集が作られています。

上にもっともらしい導入を書いてみましたが、アイアンランドやアイアンスウォーンについて事前に明確に決まっている設定はこのくらいかもしれません。これ以上詳しい設定、つまりこの世界の「ファクト」についてはプレイヤーが決めていきます。ちゃんとファクト用のシートが用意されていて、凝るつもりがないなら集落とか、魔法とか、魔物とかについて書かれた三択の選択肢から選んでいくだけで自分好みのアイアンランドが出来上がります。

プレイヤーは「鉄の誓い」を立て、それを遂行する旅人です。五つの能力値やクラス、コンパニオンなどのデータがあり、一般的なTRPGらしいキャラメイクになります。状況を設定し、ムーブを行い、難易度に応じてプログレス(進行度)が進行する。そして、プログレス値を使用してフィニッシュになるようなムーブを決める……という感じでゲームは進行していきます。発想に困ったときは豊富なオラクル(ランダム表)があります。

システム的にはPbtA(そういうTRPGのシステム群があるんです)に強く影響を受けていて、物語の中のキャラクターの行動が「ムーブ」に該当するときに判定を行う、というイメージです。
上に書いた通りおびただしい数のバリエーションが作られているので、アイアンランドを冒険するだけがironswornの遊び方ではありません。もちろん、「自分で追加データやサプリを作る」という選択肢も含めて!

LONER(ローナー)

【朗報】ソロ・ロールプレイングゲームは、できます!

基本ルールPDF(無料):https://zeruhur.itch.io/loner
web版:https://loner.zotiquestgames.com/

LONERの基本設計思想は、「ミニマルであること」です。LONERには一人でRPGを遊ぶうえで必要なものがすべてきっちり揃っていて、余分なものも足りないものもないように作られている印象です。
こうなってしまうとちょっと味気ない話ですが……ファンタジー世界の冒険譚も、ヴィクトリア朝ロンドンでの猟奇殺人事件を追いかけるミステリーも、現代日本の青春活劇も、ゲームとして遊ぶ時に必要なものとなるとだいたい似通ってくるものです。つまり、大きな事件があり、それが引き起こす困難があり、その困難に直面したプレイヤーは「何かを起こすこと」を期待して判定し、判定の結果次第で何かが起きたり別のことが起きたりするという流れです。その困難の発生と解決を繰り返す中で、物語を二転三転させる出来事が起きることもあります。LONERはこれらをすべてシステム的に処理して、想像力の限りで遊べるように仕上げています。
戦闘のような丁々発止のやりとりを扱うルールもありますが、大事なのは「プレイヤーがそれをやりたいかどうか」です。攻撃と回避を振り合う楽しさもありますが、今はあなたが一発振りで決めたいと思っているならそれでも良し、という潔さは、確かにソロRPGを遊ぶうえで必要かもしれませんね。

なので、LONERには事前に世界観や冒険の内容を規定するものはありませんが、やりたい冒険を特に思いつかなくてもランダム表を振るだけで面白い冒険の設定が作れるようにしっかり用意されています。
追加データとしてファンタジーやスパイもの、SFを特に遊ぶためのランダム表や追加ルールが用意されているので、これを使って遊ぶとイメージがより湧きやすくて楽かもしれません。

LONERのキャラメイクは、ざっくりいえば「そのキャラクターの強みと弱み」を明らかにしていく形になっています。数値的なデータはほんのわずかで、キャラクターについて言葉で設定していくのが重要になります。まさに物語るためのゲームであり、ジャーナルが重要になってくるシステムです。(ジャーナル無しでも遊べることは明記されています)

LONERはすでにセカンドエディションが出ていますが、上記の説明は初代を遊んだときの所感です。初代は全文無料公開中です!

ということで

ひとまず私が遊んでいる2つのソロRPGを紹介しました。どちらも優れたゲームですが、両方とも無料であり、かつより深く遊びたいときは有料コンテンツに触れるという選択肢もあるというのも共通点ですね。
こういつたソロRPGは、シチュエーションややることが限定されているタイプのジャーナリングRPGとは少し手ごたえが違うと思います。ゲームの中の世界はあまりにも広く、起きうる出来事は無数にあり、ゲームがプレイヤーに与える啓示はあまりにも断片的で、最初は戸惑うかもしれません。しかし、遊び方を飲み込んでくると、やりたいことが次から次に浮かんできます。そして、ゲームはいつでもプレイヤーがやりたいことの味方をしてくれます。

おまけ

ironswornのレジュメとキャラクターシートだけでもほかの人が見てもわかる形で日本語訳しようと思ってちまちま作ってます。キャラクターシートはこんな感じです

Ironsworn-Playkit_page_0002

 

 

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