禁断忍法帳-闇の道-【続・カラスの章】

プレイログ

このプレイログについて

Kindan Ninpoucho: Yami no Michi」は、戦国時代を生きる忍者となって任務を遂行するTRPGです。GMレスのソロプレイが可能です。
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ジャーナル

任務の開始

影に滲むように、死神が現れる。私は振り向きもせず足を止め、その言葉を待った。

Theme table…13-45/雷・虚

「稲果槌(いかづち)領の百姓らを煽動し、一揆をけしかけよ」
「長くかかりそうな話じゃな」

私は眉間にしわを寄せ、呟いた。

質問…この任務は一年以上掛かる?
回答…6/いいえ。短い期間で決着がつく。

「稲果槌領の百姓たちはもはや不満と飢えに手足を生やしたがごとき現状よ。その日その日を山野の鼠のごとくに食いつなぐ日々、甘言と流言あらばその怒りは容易に爆発するであろう」
「起きるべくして起きる一揆……われわれはそれを早めるのみ、ということか」

楽な任務ではないだろうが、時間がかからないというのはいいことだ。私は念を入れて変装をするべく、粗末な我が家に引っ込んだ。

二.百姓一揆煽動の任

私は旅の行商の姿を取って稲果槌領に潜り込んだ。この地方では少しばかり珍しい小間物を手に村を巡り、宿を取り、商売を行う。こうして人々の中に紛れ込めば、流言を用いるのも容易いという寸法だ。
私の変装と演技は、うまくいくだろうか? あまり得意な分野ではないのだが……

判定…6/勝利し、進展する。

私はうまく行商になりすまし、村の人々の信頼と歓心を得ることに成功した。
私は明日の食事にも困る娘の髪に簪を飾り、妻に初めての贈り物をする男に破格の値で手鏡を譲った。そうして苦境に滑り込んできた人物の言葉は、ただもっともらしくささやくよりも強く響くものだ。

「稲果槌の大殿様はいまや長くないご様子、家中も乱れ、もはやこの国を守る力は無きものかと」
「このまま戦が始まろうものなら、稲果槌の城に攻め込むさなかにこの村もあの村も焼き払われて炭となり、これまで巻き上げられ続けていた年貢もただ取られて終い」
「稲果槌に不満を持ち与さぬことを示しておけば、戦が始まろうともこの村が焼かれることはないだろう」

少しずつ、言葉を選び、促し、ほとんどの言葉は相手に言わせる。この手の任務の王道だ。
実のところ、これらは嘘でも何でもない。敵領たる我らの主に恭順の姿勢を見せ、稲果槌の兵糧を供する地とならなければ、私は過たずそのことを伝える。そうすれば、無益な殺生と破壊は行われず済むのだ。
このままいけば、今回の任務は簡単に済みそうだが……

Pressure…心眼の剣士左門が現れる。

商品を片付け店じまいをしている私の前に、背の高い男の影が一つ落ちる。

「黒く燻る魂の煙……此処から漂っていましたか」
「……! きさまは……」

私は商品をしまう手を素早く引っ込め、後ろに飛んだ。
抜く手も見せぬ左門の一撃を、私はかわすことができただろうか?

判定…5/勝利し、進展する。

私はとんぼを切って飛び退り、左門の刀をかわした。服の中に隠していた苦無を掌に滑り落とし、逆手に握る。

「かわしましたか。しかしこのような道端に座って、何を……」

左門は戸惑うように表情を険しくして、剣を構え直した。
この男は盲目だ。おそらくは心眼の技術を用いて、的確な剣戟を繰り出してきているのだろう。
どうやら私の魂の燻る煙とやらが見えているのは本当らしいが、私がどのような服装で、目の前に何を置いていたかまでは把握できないようだ。
この男の言動いかんでは、この村に私の目的が露呈してしまう。私は誰かに見られる前に決着をつけることにした。

「……! おのれ、何処に逃げようというのです!」

背を向けて走り出した私に罵声を浴びせ、左門が駆け出す。脚が長いのもあってか、走法を身につけた私をしのぐほど速い。完全に振り切るのは不可能だ。
人目のない藪の中に、左門を誘導できるだろうか?

判定…4/代償のある成功

目的の薄暗い藪の奥に誘導したと思った瞬間、伸び上がるように追いついてきたその剣士は容赦のない一太刀を私に浴びせた。
私は振り向きもせず横跳びして、その刃をかわした。

判定…6/勝利し、進展する。

左門の剣は目明きより余程的確だ。これほどひょいひょい避けられた経験はないだろう。ぐぐっ、と憤懣の唸りがその喉の奥でくぐもっている。
体勢を整えはしたが、奴はめくら、私は忍び。一人前の剣客のように睨みあう時間は要らぬだろう。
私は身を低く構え、素早く地を駆けて練達の〈集中力〉で左門に肉薄し一撃を加えた。

判定…1/悲劇的な失敗→代償のある成功

私の苦無は左門の体を深く切り裂いたが、命を奪うほどには届かなかった。そして、左門の一撃は間合い大きく外されて私の体を切り裂くには及ばず、振り下ろされて地を叩いた。
その刃は硬い竹の根を打ち、鋭い音を立てて折れ飛んだ――私に向かって。
私は練達の〈反射神経〉を生かして、それを苦無ではじき返した。

判定…2/悲劇的な失敗→代償のある成功

折れ飛んだ刃をはじき返したその瞬間、私は無防備になっていた――心を見る左門の瞳が、それを見逃すはずもない。すでに体制を整え、運足して間合いを稼いだ左門が、白刃を夕刻の陽に濡らして繰り出してくる。
この攻撃をしのぎ、左門を始末せねばなるまい。

判定…2/悲劇的な失敗

かはっ……と、声にならない息が私の喉から迸った。
剣先が折れた左門の剣は私の肉を引き裂くことこそなかったが、硬い鋼がみぞおちに深くめり込み、骨をきしませ、呼吸を絞り出した。呼吸もままならず私は痙攣し、その場に倒れた。

「油断しましたね。名も知らぬ忍びよ」

油断などしていなかった。ただ、この男が強すぎただけだ。
いや、それこそが油断なのか――忍びならば、このような剣士と正面切って戦うべきではなかった。
息ができない。目が回る。意識が薄れていく。

Theme table…62-21/影・火

その時、夕日に不気味に伸びた私の影がぐるりと巡り、歪み、燃え上がった。
私は薄れる視界の中で、影から吹き上がった炎に襲われる左門を見ていた。
操ることができない。止めることも、抑えることも。
あれは、私の術ではない――私の魂をずっと燻らせてきた、邪悪な熱そのものだ。私の制御を外れ、あふれ出して、のたうち、暴れている。この敵の肉を焦がし、炭として、全ての危機を帳消しにするために。

質問…左門はこの影の炎から生き延びることができるだろうか?
回答…6/いいえ。左門は焼け死ぬ。

質問…左門を焼いた炎が、次に村人を焼くのを止めることはできるだろうか?
回答…5/いいえ。この村の人々は焼け死ぬ。

質問…次に私が目覚めたとき、炎は止まっているだろうか?
回答…4/いいえ。炎は止まらず、周囲を焼き尽くしている。

質問…炎は私を焼き殺すだろうか?
回答…6/いいえ。宿主が焼かれることはない。

影から噴き出た炎は消えることなく、私の周囲に渦巻いている。
私は焼け野原をふらふらと歩き出した。焼かれた人々は、骨も残ってはいない。
あてどなく重い足をひきずってよたよたと前に進む私の前に、一つの影がたたずんだ。

質問…この人物を知っているだろうか?
回答…6/いいえ。知らない人物だ。

Theme Table…61-64/影・獣

「千早、食って仕舞え」

涼やかな優しい声が、熱と煤を含んだ風の中に響いた。
その瞬間、影が奇怪に伸び、もう一つの影――虎のあぎとのごとき形のものが、分離して地を駆けた。それは私の影に飛びつき、炎を撒き散らす影の中の異形に牙を突き立てた。
ぞくりと戦慄が走り、それがじわじわと消えていく。同時に、私の制御できない炎はゆっくりと消え失せ、ややあってから冷たい風が一陣舞い込んだ。

「ふん……命拾いしたな、未熟な術者よ」

嘲るような笑い。
目の前に立っていたのは、まだ若い男だった。声と同じく顔立ちも優しげでどこか貴婦人のような繊細さが漂っているが、浮かべる表情は狡猾な狐のごとくだ。

「だが、これほどの炎を一昼夜も繰り出し続けるその術力、殺すには惜しい」
「一昼夜……」

そんなに経っていたのか。ぼんやりとそう思う私に無造作に近づいて、男は当身を繰り出した。横隔膜を押しつぶすような一撃に息が詰まり、めまいがして、急速に意識を失っていく。
最後のひとひらの意識に、男の言葉が滑り込んだ。

「おれの名はキバ。これより、きさまの新たな主よ」

ARC

これより、謎の獣使いキバとの縁が新たな物語を紡ぐだろう。
私はARCを1点獲得した。
ARC:2

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