このゲームについて
「Magemouse」は、魔法が使える小さなネズミとなって、魔法使いが遺した魔法の塔を探検するソロジャーナルです。
Carta SRDを使用したゲームで、トランプを並べてマップを作るのが特徴です。
ジャーナル
セッティング
テリトリー(1d6):5…海のそば。切り立った崖の上、もしくは砂浜に面した葦の草原の中。
装備(2d6):7…四葉のクローバーのペンダント。不思議なことに、いつでも完璧に保存されている。
盤面はこのようになっています。このトランプをマップに見立てて、魔法の塔を攻略していきます。
導入
私は魔法使いネズミのサザン。海辺の町の裏路地で暮らす魔法使いさ。
人間の魔法使いが立ち去って久しい魔法の塔が見下ろすこの町では、あるうわさが流れている。
なんでもあの魔法の塔には、お宝があるらしい。魔力の力できらきら輝く、魔法のクリスタルだ。だが、塔には魔法使いが遺していったモンスターや罠が待ち受けていて、勇敢な冒険者でもないと乗り越えられないだろうということだ。
勇敢な冒険者。つまり、私みたいなってことだね。
私が塔に行ってやろうと宣言すると、町中のネズミが喜んだ。
そして、「忍び足のおまもり」をくれた。
これは貴重な防御呪文が込められた護符で、塔の中の様々な危険から逃れるための魔力が込められている。非常に強力だが、常に魔力を消費しているのが悩ましいところだ。幸い、仲間の魔法使いネズミたちが塔のあちこちにキャンプを作っている。魔力もろもろをうまく補給しながら探索を進めてみるのがいいだろう。
魔法のクリスタルは、聞いた話では全部で6つあるらしい。すべて見つけて帰ってこれたらいいんだがね。
どうやら塔は危険でいっぱいだ。家宝の「幸運のネックレス」を身に着けて、私は塔の北東の角から進入することにした。
【1】
♣のQ:壁に絵がずらりと並べられている細長い部屋。
特に見るべきものはない。シールドを1減らす。
ここは画廊のようだ。廊下のような細い部屋に肖像画がずらずらと並んでいる。
人間の顏と言うのは耳も良く見えないし、毛並みもなくてつるつるしているからどれもこれも同じに見えるな。眼球に白いところがやけに多いのも不思議な感じだ。
その眼球がぐりりと動いて、私を見た気がした。私はぴょんと跳ねて、尾を振りながら走り出した。
シールド:6→5
【2】
♥の3:リュートを持った魔法ネズミがいて、英雄譚や冒険譚のインスピレーションを得るためにここにやってきた。彼らは、座って歌を聴くように誘う。
仲間のキャンプがある。シールドを満タンにする。
部屋の中では小さな焚火が揺れていた。冒険者ネズミたちが車座になり、めいめい勝手に話している。ネズミたちは夜目が利くが、それでも焚火の明るさと温かさに心が和らいで気が大きくなっているようだ。
吟遊詩人が大きな耳を振り、新たな来客を歓迎するように私に鼻先を向けた。
「旅人さん、新しい歌を聞いていきなよ」
「吟遊詩人が、なんでこんな暗くて寂しいダンジョンにいるんだい?」
「その暗くて寂しいダンジョンの話を聞くためさ」
なるほど、もっともだ。とはいえ、今は私から話せることもないからね。私は大人しく座って、吟遊詩人の歌に耳を傾けた。
シールド:5→6
【3】
♣の7:毒の花が咲き乱れる花壇がある。
特に見るべきものはない。シールドを1減らす。
ここは……温室というやつかな。塔の中にある部屋なのに日光に似た光が射していて、植物が生い茂っている。特に大きな花壇には、色鮮やかな花が所狭しと咲いているようだ。
……その花の周りに虫の死体がたくさん落ちていなければ、美しい光景だったのかもしれないが。
どうやらあの花は危険みたいだな。大きく迂回して隣の部屋に向かおう。
シールド:6→5
【4】
♠の4:ガラスに難解な文字が刻まれた大きな瓶が部屋の真ん中で割れ、その破片に煙のようなものが立ち込めている。
危険な部屋で、入ることはできない。シールドを1減らす。
マズい! これは誰が見てもマズいぞ。
部屋の真ん中で割れた瓶の周りに、見るからに有毒そうな鮮やかな色の霧が立ち込め、ぐるぐると巡っている。魔法的なもの、薬学的なもの、どちらにしてもきっとろくでもなさそうだ。
私はそっとドアの隙間から部屋を出た。引き返して、違う部屋に行こう。
シールド:5→4
♣の7・♥の3に戻る。
【5】
♠の10:魔法の文様で覆われた奇妙な金色の球体がこの部屋に浮かび上がり、壁が焦がされている。炎の精霊の番人だ!
危険な部屋で、入ることはできない。シールドを1減らす。
炎の精霊。こんなに強力なものを目にするのは初めてだ。美しく眩いが、それだけに危険そうだ。
そんな危険な代物が、部屋の中を浮遊している。部屋には人間たちが使う宝箱のようなものが置かれているが、そこにたどり着くことはまず不可能だろう。たどりついたところで、開けられるかどうか。
私は元来た道を戻ることにした。
シールド:4→3
♥の3・♣の7に戻る。
【6】
♥の5:年数により劣化したり荒廃したりしない魔法が掛けられた寝室。常に清潔で整頓された形になる。安心して転寝ができる。
仲間のキャンプがある。シールドを満タンにする。
清潔な寝室と言うのは、ネズミにとっては少々居心地の悪いもののようだが……そこで堂々と寝ていいということになったら話は別さ。
私はベッドの足をちょろちょろ上り、清潔なシーツの波の中に寝転んでいる同輩たちに交じることにした。私の長い尾はシーツの上でぱたぱたと揺れ、やがて眠りに落ちると共にそれが倒れてシーツをぱたりと叩く音が聞こえた。
シールド:3→6
【7】
♣の9:クローゼット、ドレッサー、本棚、ベッドが完備された、整頓された寝室。やたら物は多いが、特に価値があるものはない。
特に見るべきものはない。シールドを1減らす。
居心地のいい居室のようだ。色々なものが置かれているが、宝物と呼べるようなものはない。
今は魔法の水晶が目的なんだ。他のものに目をやっている暇はないな。
シールド:6→5
【8】
♠の8:この部屋は暗く、圧迫感が漂っている。 奇妙なささやきがどこからともなく聞こえてくるようだ……。
危険な部屋で、入ることはできない。シールドを1減らす。
恐ろしい暗黒で満たされた部屋だ。その奥を見通すことはできなかった。
ここには何がいて、侵入者にどのような恐ろしい運命をもたらすのだろう……それを知ってしまうだけで、もはや今までの日常には戻れないかもしれない。
私は一も二もなく背を見せて、全速力で来た道を駆け戻った。
シールド:5→4
♣の9・♥の5・♣の7に戻る。
【9】
♣の6:魔法の実験で妙に分厚く大量に育った苔と蔦で覆われた部屋。
特に見るべきものはない。シールドを1減らす。
森のような、むせかえる緑の匂いが立ち込める部屋だ。苔は高級絨毯のように分厚く、上に身を投げ出すともふっ、と体が沈んだ。しばらく上を転がって遊んでみたが、遊び疲れたあたりでふと我に返って起きあがった。
悪いものが漂わせているような雰囲気はないが、ここに宝はなさそうだ。私はのたのたと歩き出した。
シールド:4→3
【10】
♦のA:天井の下にあるのに星を反射する浅い水盤。虚無の色の黒い水晶が、水面から半分突き出た形で覗いている。
宝物を見つけた。トレジャーを1増やし、シールドを1減らす。
部屋の中央に水盤が置かれていて、湛えられた水には星空が映っている。近づいて覗いてみるが、天井や私の顏は映らない。まるで水盤の中に星空が溜まっているみたいだ。
ちょん、と手を伸ばして、水盤の中央に置かれた黒い水晶を取る。ばあっ、と光が走り、水盤には青空が広がった。
どうやらこの水晶、並々ならぬ力を秘めているようだ。私はそれをバックパックに押し込んだ。
シールド:3→2
トレジャー:0→1
【11】
♣のA:ポーションの棚がある。ポーションは全てひび割れ、干からびている。
特に見るべきものはない。シールドを1減らす。
魔法使いの塔らしく、この部屋には魔法薬がたくさん並んでいるようだ。
色とりどりの鮮やかな薬品だったようだが、今は干からびてガラス瓶に貼り付いている。これでは役に立ちそうにないな。
シールド:2→1
【12】
♥の7:人間の書斎のようだ。人間の文字が読めるメイジマウスが書物を読んでいる。何か教えてもらえるかもしれない。
仲間のキャンプがある。シールドを満タンにする。
書斎の本があちこちに積まれて階段になっている。こうしてあるとネズミにも探索しやすくて親切だね。私は黒い水晶を入れたバックパックを背負って本の階段を駆け上り、書き物机の上で額を突き合わせて会議をしている魔法使いネズミたちの輪に飛び込んだ。
「何か面白いものでも見つかったかね?」
「ああ、ううん……この塔でどのような研究が行われていたかについて調べていたのさ」
「つまり、歴史の授業かい?」
「たった50年前だぞ」
「歴史じゃないか」
我々短命のネズミからすると、気が遠くなるくらい昔の話さ。魔法使いネズミは煙に巻かれたような顔をして黙り込み、広げた大きな本へ視線を戻した。
「とにかく、ここで行われていた研究についてさ……どうやら、精霊魔法の研究を行っていたみたいだ。元素界で精霊を捕獲した記録も見つかった」
「炎の精霊じゃないかい? 金色で丸いやつだ」
「ああ……会ったのか」
「会ったけど、すぐ逃げたよ」
とりあえず、いろいろと符号する部分は見えてきたな。あの真っ暗な部屋にいたのも闇の精霊、緑が茂るあの部屋にも植物の精霊がいたのだろう。
危険なことに違いはないが、何を求めて使用された魔法なのかがわかるだけで対策は取りやすくなる。私はおまもりを充填しながら、しばらく魔法使いネズミの話を聞くことにした。
シールド:1→6
トレジャー:1
ジャーナルの中断
魔法の水晶はまだ1つきりしか見つかっていない。もっとも、6個全部が見つかるという保証はないんだが……
この塔がどんなに危険でも、私の機転と仲間のサポートがあれば乗り越えられるさ。
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