【プレイログ】視エザル隠リ世

プレイログ

The Unseen World」は、現代日本を旅する超常現象調査員となって様々な怪奇現象に直面するソロジャーナルです。

日本という国を知っていますか?
そこは、論理と理性が信仰と神秘主義と衝突する場所。現代においても、幽霊や幻想的な生物が日常生活の一部とされている、非常に珍しい国です。

新進の超常現象調査員である主人公は、この科学すら無視されがちな、文明社会のフロンティアに挑みます。所持金は10000円です。

ゲームの準備

キャラクター作成

名前:ハシモト

レベル:1

意志力:8

特性:配信者
オンライン動画で得られる報酬が+5,000円されます。
町で若いNPCと調査チェックを行う際、チェックに+2の修正があります。

ハシモトは30歳の男性です。地味ですがまあ清潔感のある容姿で、人並みより少し話がうまくて声に特徴があることから幸運にも配信者として人気を博しています。

町の作成

町のタイプ…6/農業地帯。ロケーション×2、心霊スポット×3

何処まで行っても田んぼ。道路には車も通らない。平和?過疎?
だが、霊は必ずいる。

ロケーション1…3/公立学校。

情報タイプ。NPC3人。食料品1個。放課後の時間帯のみ、教員の付き添い付きでという条件で、学校の敷地内への立ち入りを許可してもらえる。 ひょろひょろの老人が無言でついてくる。 いつも無口で、質問されることはない。

ロケーション2…5/博物館。

情報タイプ。NPC2人。アイテムなし。工芸品は、透明に見えるほど磨き上げられたガラスの向こうに展示されている。 侍の具足の前を通りかかると、マスクの奥に生身の目があり、血と戦いに渇望していることを確信する。

心霊スポット1…7/トンネル。

活動レベル…4

岩はエネルギーを封じ込め、トンネルはすべて墓になる。
濃霧により、調査時に2アクションを必要とする。霧は常に存在する。 霧は世界を隔てる障壁であり、そこに入ることは賢明でないと言う人もいる。 霧から出ることは不確実である。

心霊スポット2…6/古い家。

活動レベル…2

古い場所は、生きている人のエネルギーを長い間吸収している。
静寂。活動レベルを-1する。時には、幽霊が出たことがあるのではないかと疑われることもある。しかし、時折死者と遭遇することで、霊魂は決して離れないことを思い知らされる。

心霊スポット3…1/廃校。

活動レベル…3

空っぽのホールに、忘れられた学校生活が残響している。
暗闇。すべての恐怖チェックに-1。特に夜は、電気が消えているとどこもかしこも暗い。 しかし、場所によっては闇が濃く、より生き生きとしている。

今回の舞台になる町の名前は「杏神町(あんしんちょう)」です。
農業地帯で、青々とした田んぼが広がっています。高齢化・過疎化が進む地域で、年々子供が減っています。かつては多くの生徒が通った公立学校のうち、北杏神小学校は廃校となり、南杏神小学校は生徒数の縮小が進んでいます。

最後にアクションデッキ・チャレンジデッキを作成します。

手札…♥4/♣4/♦3/♣3

ジャーナル

一日目

杏神町の大通りに到着しました。国道沿いの開けた場所で、シャッターが目立ちます。かつてはここも町内一番の歓楽街だったようですが、その面影は店じまいの時に回収しそびれて、年月のままに褪せていった看板のみが留めています。

行動:ロケーション「博物館」に移動(♦3を捨てる)

この町でどのようなことが起きているのか調べるには、情報が集まる場所に赴くのが良いでしょう。ハシモトは「杏神地域史博物館」に足を運びました。
緑深い山がちの土地には不釣り合いな近代的な小さな建物で、いかにもハコモノという趣です。いかにも現代建築らしい、多面体にカットされた灰色の屋根に埃が積もっています。覇気のない眼差しの年若い職員は、何か質問をすると三つ折りの館内パンフレットを押し付けて沈黙を保ちます。

「こういうとこって面接とかしてんのか?」

ハシモトは疑問に思いました。

「それとも、やっぱり縁故採用ってやつなのか? いかにも簡単そうで、しかも絶対的にヒマなのが分かってる仕事ってのは……親ならぜひ我が子にやらせたい仕事だしな」

まともな学芸員は決まった時間にしか現れず、専門的な質問をするには忍耐が必要そうです。枕詞にいきいきとか元気とかこころのとかついてる、あいまいな地域イベントのポスターはたくさん貼ってありますが……

行動:調査(♣3を捨てる)

チャレンジカード:♣7

アクションカード:♣4→成功

ハシモトは地域史コーナーに置かれている古新聞から、この町の心霊現象に関係しているだろう事件を探り当てました。

最初の情報…1/殺人。 陰惨な殺人事件があり、数週間にわたって町中が騒然とし、さまざまな噂が生まれた。

心霊スポットとの関連付け:古い家-殺人

「町はずれの廃屋……あそこが殺人事件が起きた場所だったのか!」

ハシモトは地図と記事を照らし合わせて納得します。どこか不気味で陰惨な雰囲気が漂っていた気がする、というのは今になったらなんとでもいえる後付けですが……ただの廃屋ではないことはとうに見抜いていました。

忘れるところでしたが、博物館にいるNPCは2人です。今のうちに作っておきましょう。

1人目…女性/老人/ミステリアス(-2)/名前はササキ。無口な老人。

2人目…女性/成人/うぬぼれ屋(-1)/名前はトクダ。よくしゃべる騒がしい中年。

今のところ、自力で調べた方が良さそうですね。博物館にいる限り、調査判定には+3の修正があります。

 

行動:調査(♠3を捨てる)

チャレンジカード:♠8

アクションカード:♥3→失敗

なかなか調査はうまくいきません。

 

行動:調査(♣2を捨てる)

チャレンジカード:♦6

アクションカード:♠4→成功

古新聞を読みふけっているうちに、過去の事件についての情報がだいぶまとまってきました。
この杏神町を賑わした凄惨な殺人事件。その具体的な内容は……

2つ目の情報:3/不倫。 何かがあなたの記憶を呼び覚まし、事件のことを読んだことさえ思い出す。 それは暴力的で致命的になった不倫関係だった。

「痴情のもつれ……そうだったな」

ハシモトはこめかみを揉みました。

「なんかまとめサイトで見たわ」

そう、それはとても凄惨で、人々の耳目を賑わすに十分すぎる事件です。
この国の殺人事件には、不思議な程に刃物を用いたものが多いようです。単に規制により銃が手に入りにくいせいだということですが、刃物で人を殺すのが当然だというのはなんとも不気味な話です。

「不倫相手の男が逆上して、刃物を持って自宅に押し掛け一家惨殺……真っ先に子供を殺したって言うから容赦がない。家族を皆殺しにしたあと、男も自殺した」

ハシモトはぺろりと唇をなめました。
凄惨な事件、不気味な心霊現象。面白くなってきました。これを解明すれば、きっとバズるでしょう。

 

行動:調査(♠2を捨てる)

チャレンジカード:♥6

アクションカード:♥4→成功

ハシモトはスマホとタブレットを駆使して超常捜査局のデータベースを活用し、更にこの博物館の史料からわかるこの地の霊脈や土地神との関連付けを行うことで、こういった心霊事象に対して最も効果的な物品を調べ上げていました。

3つ目の情報…3/鏡。死者と交信するという考えは嫌われており、その方法を確認するのは難しい。 しかし、鏡を使えば可能だ。ただし、霊の名前を呼ばなければうまくいかない。

「不倫からの一家惨殺……それを引き起こして自殺した男に直接インタビュー。うさんくさい動画にはなりそうだけど、興味を持つ奴は多いんじゃないか?」

ハシモトは高速でフリックを繰り返し、メモを次々に書き留めていきます。

「あとはスポットに突撃するだけか……でも、もうずいぶん遅い時間だな」

現在、アクションデッキのカードは使い尽くしたので、手札の♥2/♦4/♠A/♦2だけが残っています。これは一日が終わりに近づきつつあることを示しています。

行動:大通りに移動する(♦2を捨てる)

行動:アイテムを購入する(♥2を捨てる)

町のスーパーに行き、小さな「鏡」を購入します。

行動:ホテルで休む(♦4を捨てる。5000円を失う)

1日目の夜は更けていきます。所持金はあと1晩ぶんしか残っていません。次の夜で決着をつける、とハシモトは決意しながら、缶コーヒーを口に運んでタブレットに表示される記事を睨んでいます。
事件があったのは15年前。あの家で6人の命が絶たれたようです。事件の結末は、被疑者死亡による公訴棄却。被害者の名前は「東 夏樹・東 きらら・東 真珠(まじゅ)・東 月月渚(るるな)・東 依茉(えま)」。そして加害者の名前は「沖浦 太陽」。複数の刃物とバールを携帯し、ベランダの窓を破壊して建物に押し入ったようです。テレビを見ていた子供たちを真っ先に殺害し、駆け寄ってきたきららを殺害。そしてキッチンの包丁を調達し、自宅を逃げ回る夏樹に追いすがって全身をめった刺しにしました。
多くの記事は、この部分を特にセンセーショナルに取り上げています——それも無理はない、とハシモトは思いました。

「沖浦太陽は、東夏樹の愛人だった。ゲイ向けのマッチングアプリで出会い、二年間にわたって関係を持っていた……金銭の授受を拒んでいたという話もあって、世間では『禁断の愛に翻弄された哀れな美青年』として沖浦太陽を美化する向きもあったとか」

マスメディアで扱われたのが、マッチングアプリに使用していた加工済みの上半身裸の写真であったことも、美しく悲劇的なストーリーの完成に一役買ったようです。
一方、ネットの掲示板では即日に卒業アルバムから探し出された冴えない少年の顏が流布され、「加工された写真に騙されて人殺しを擁護する馬鹿な女たち」という、これはこれでそういった層のユーザーたちが満足できるストーリーが作り上げられました。

「なんか被害者以外は妙に楽しそうなんだよな、こういう事件」

ハシモトはせせら笑って呟き、歯を磨くためにベッドから立ち上がりました。

二日目

手札…♦3/♠A/♥4/♠2

行動:心霊スポット「古い家(活動レベル2)」に移動(♠2を捨てる)

ハシモトは鏡を携えて、廃屋となった東邸へ向かいます。スプレーで「呪」と言う文字や、ほか卑猥な落書きが目立ちます。取り壊しもされずに放置されている建物は施錠されているはずですが、事件当日に沖浦太陽が砕いたフランス窓から簡単に入ることができるでしょう。

行動:探索(♦2を捨てる)

ハシモトは建物に踏み込んで、昼でも暗い室内に懐中電灯の光を投げかけます。

遭遇:4/音声証拠×2を獲得。

埃を被った廊下をゆっくりと進んでいくと、カシャン、と鋭い金属音が響き渡りました。引き返して音のした方へ光を当てると、汚れた床の上に空の鍋が落ちています。

(鍋なんて置いてあったか?)

ハシモトは不審に思いながら、鍋に近づきました。位置関係としてはカウンターの上に置かれていたのが落ちたとみるのが妥当そうですが、カウンターの上にも埃が積もっていて、鍋が乗っていた形跡はありません。
なにより、ハシモトはキッチンに踏み込んでもいないのに、なぜ鍋が落ちたのでしょう?

チャレンジカード:♣7

アクションカード:♥4+♠4(Push!)→成功

確かに迫ってこようとしている恐怖を冷静に見据えて、ハシモトは呼吸を落ち着けます。

「ホモ野郎の腐れ外道の霊なんか、怖くもなんともないね」

鏡の置き場所を求めて、ハシモトは軋む床を土足で踏み、歩き続けます。記事を見ただけでは東夏樹がどこで殺されたかは分かりませんが、重要なのはきっとその場所でしょう。長くもない廊下を歩いていくと、不意に聞こえた音にハシモトはぎくりと足を止めました。

遭遇:6/音声証拠×2を獲得。

「水の音だ……」

水道が止まって久しいはずの東邸の浴室から、水の音が聞こえます。ハシモトはスマホのカメラを起動させ、ドアが開け放たれたままの脱衣所へ近づきました。浴室の湿気や有機物に呼び寄せられていたのか、半開きのすりガラスのドアは長年虫の棲み処になっていたようで、黒い小さな糞と抜け殻、埃の塊がべったりとくっついています。その向こうの浴槽には今、水音と共に液体が溢れつつありました。
反射的に懐中電灯の光を向けます。光の中で水面は揺れ、透き通った水の中に光を導き入れてきらめきました。
あらぬ心配が和らいで安堵したのはほんの一瞬のことで、その水が光の中で見る間に黒く染まっていき、たぷたぷと揺れながらあふれ出していきます。生臭さと鉄錆めいたものが混ざった臭いが、黴臭い室内を塗りつぶします。

チャレンジカード:♥7

アクションカード:♠3+♣4(Push!)→成功

「……全然怖くなんかないね!」

スマホのカメラを回しながら、ハシモトは毒づきました。

「クソ野郎、なんで風呂なんだ? 最後に愛人と風呂にでも入ったのか? そんなもんで俺がビビるかよ!」

だぷだぷと揺れる粘性の黒い液体が浴槽からあふれ出し、床を真っ黒に塗りつぶしていきます。
どうやら、ここが怨霊にとって最も大事な場所であることは間違いないようです。
ハシモトはスマホを胸ポケットに挿すと、ついに手鏡を握りなおして周囲を慎重に見直しました。

ばしっ——

濡れた音が響いて、壁に血の手形が付きます。
明らかに大きく、成人男性の手の形です。やはり、この建物に憑りついているのは無惨に殺された妻子ではなく、身勝手な男の霊のようです。

「沖浦太陽、そのツラを見せろ!」

抗うような唸り声が聞こえます。ハシモトは鏡を洗面台に置き、懐中電灯の光を当てました。かちっ、と反射した光が天井にぶつかり、照らし出された鏡面では血に汚れた男が自分の顔を隠して悶絶しています。
ハシモトは鏡面に指を突きつけ、高らかに告げました。

「お前の名前は有名だぞ、沖浦太陽。
妻子持ちに横恋慕して凶行に及んだ、頭の足りない哀れな不細工だってな!」

悲鳴が聞こえます。何かを必死に弁明しようとしている声に耳を貸さず、ハシモトはポケットからテープを取り出します。それは超常捜査局支給の、神道式の呪紋がびっしりと印刷された粘着テープでした。

「悪霊退散!」

手鏡にぐるぐるとテープを巻き付けて、びっ、と端を千切ります。
悲痛な唸り声は自分が殺した男の名を叫んでいるようでしたが、それはすでにハシモトの興味の外でした。

東邸に満ちていた怨念が、ゆっくりと薄れていきます。この地の呪縛はすぐに消え失せることはないでしょうが、時間をかけて消えていき、やがてなんということのない土地の一角になるでしょう。

「あっけないな……人殺し一人の怨念が、ずっとこの家を縛ってたのか」

ハシモトは顔をしかめて呻き、煙草を咥えました。

「身勝手な奴もいるもんだぜ」

拍子抜けした心地でしばらく煙草を楽しんだハシモトは、ふと気づきます。

「……これだけじゃ、収益が上がるだけの撮れ高にはならないぞ。どうしよう……」

名前:ハシモト

レベル:1

意志力:8

証拠:音声証拠×4

XP:2

所持金:5000円

ジャーナルの中断

心霊スポット「古い家」の活動レベルが予想外に低かったので、あっけなく除霊が終わってしまいました。これでは証拠が手に入らず、所持金を増やすことが難しくなります。
まだ2日目の途中なので、大急ぎで次の心霊スポットを探して心霊を撮る必要があるでしょう。今夜のホテル代を取ったら文無しになってしまいます……超常現象調査員も楽じゃないですね。

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