サバイバルソロジャーナル「庭先の火星人」プレイログ

Martians in the Garden プレイログ

世界中のあらゆる戦争にインスパイアを受けたソロジャーナルRPG。

Martians in the Garden(庭先の火星人)について

Martians in the Gardenは、火星人との戦争が激化する世界で、田舎に隠れ住む民間人をプレイするソロジャーナルです。
戦争の中で生きるか死ぬかに、個人の能力は実のところそれほど関係ありません。プレイヤーは食糧を工面し、火星人の目から逃れ、戦争が終わるその時を待ち望み続けることになります。

TIME0

日記をつけることにした。
東京が火星人によって陥落したのは先週の話だ。テレビ局が占拠されてから、すべての局では降伏を勧告する電子音声と、並べられ光線銃で処刑される政治家たちの映像が繰り返し流れている。
火星人は人間を捕まえてどうするんだろう? その答えは侵略最初期、火星人が地球に作った大きな工場とそこに運び込まれる捕虜たち、そして工場から大量に出荷される青い缶詰の映像が示している。
地球に攻め込んできた火星人たちは、火星の正規の軍隊ではない。食品加工会社と専属契約したハンターだ……

[TIME]0 これが1つずつ進んでいく。10に達すると火星人は引き上げていくので、それまで生き延びることだ。
[FOOD]6 イージーモードなので1増やしている。食糧。これが0になると私は餓死する。
[TOOLS]0 物資。これがあればバリケードを作り、宇宙人の侵略を遠ざけることができる。
[ALIEN]0 宇宙人の危機はこのパラメーターで管理する。これが10になると、私はめでたく火星人の缶詰だ。

TIME1

…Explore Outside/6

あの気のいい農家のおじさんは、今どこにいるんだろう?
緑が生い茂り荒れ果てた畑から、育ちすぎたスイカとぶつぶつのきゅうりを一山回収してきた。
もちろん、安全な作戦じゃなかった……火星人が乗り回している三本足の作業機械が私を見つけ、しつこく追い回しながらレーザービームを撒き散らした。命からがら逃げ延びたが、早くも奴らの注意をひいてしまったことは間違いない。

[TIME]1
[FOOD]7
[TOOLS]0
[ALIEN]3

TIME2

…Hunker Down/4

三脚の機械が、私の家のすぐそばを通り過ぎて行った。地下室で耳をふさいで、それが家の中に踏み込んでこないのを祈った。
なんでこんなことになってしまったんだろう? 田舎暮らしはいいことばかりじゃなかったが、それでも知り合いや家族が次々に缶詰めになっていく現状よりはずっとましだった。火星人から生き延びる方法なんて、本当にあるんだろうか。

[TIME]2
[FOOD]7
[TOOLS]0
[ALIEN]4

TIME3

…Hunker Down/2

火星人が現れるようになってからあたりにはびこるようになった、あの赤い草は何なんだろう?手にするとイラクサのようにチリッと痛くて、飲食物に混ざっていると体が拒絶し吐き出してしまう。毒性があるのは間違いないし、しかもどこにでも生えるから最悪だ。
ああ、最悪だった。雨水を取るために置いていたバケツのいくつかが、あの赤い草におおわれていた。もちろん、水を使うことなんか出来るわけがない。バケツの置き場所を考えなければいけないようだ。飲料水の消費が早まって、心配だ。

[TIME]3
[FOOD]6
[TOOLS]0
[ALIEN]4

TIME4

…Explore Outside/1

首輪が外れた飼い犬が、町の中をうろついていた。犬はぴんと立った尻尾を振ってドアが壊れた家に入り、クローゼットの前にたどり着いてしばらく動かなかった。
私はそのあとを追いかけて家に入り、クローゼットを開けた。
缶詰……もちろん、青いやつじゃない。普通のサバ缶やツナ缶と一緒に、ドッグフードがあった。
やっていることは完全に泥棒だが、裁かれるとしても随分後の話になるはずだ。私は缶詰と、その家に用意してあったDIY道具を失敬し、犬のためにドッグフードの封を切っておいた。誰にだって生きる権利がある。泥棒にだって、野良犬にだって。

[TIME]4
[FOOD]7
[TOOLS]1
[ALIEN]4

TIME5

…Explore Outside/2

探索の範囲を広げたのは、いいことだったのか悪いことだったのか。
黒煙漂う隣町のスーパーの廃墟には、お茶や水のペットボトルが手つかずで残っていた。運べるだけ運ぼうと思ったが、重くて仕方ない。休み休み自宅を目指している途中で、遠くから光線銃で狙撃された。
それでも飲み物を手放したくなくて、必死で隠れながら逃げた。そしてその渇いた喉を、真新しいペットボトルの封を切って潤しているというわけだ……

そうだ、この前ドッグフードを探し当てていた犬が庭先まで来ていた。火星人から逃げ隠れしている時に犬をかくまうなんて正気の沙汰じゃないが、この犬を見捨てればきっと私は正気ではなくなる気がした。今は持ちこたえても、きっといつか、近い未来に。
犬は、赤い草に汚染された水は飲まないようだ。ミネラルウォーターとツナ缶を分け与えた。名前を付けてもよさそうな気がするが、思い浮かばないな。

[TIME]5
[FOOD]8
[TOOLS]1
[ALIEN]5

TIME6

…Explore Outside/1

犬と一緒に周囲を探索して、いくつかの資材を見つけた。木の板、釘、雑草、その他いろいろ。
一番役に立ったのは、倒壊した家から見つかったサバイバルガイドってやつだろうか。この持ち主がサバイバルできていないのだから、今一つ縁起の悪い代物ではあるが。
犬は私の足元をぐるぐる回っていたが、作業を始めるとおとなしく離れ、番犬の役割をしてくれたようだ。
賢い子だ。私が捕まってしまっても、犬には生き延びてほしい。

家を偽装し、もし見つかっても逃げる猶予があるようにバリケードを作った。これは大変な作業で、体力を消耗した。栄養と水分を取って休む必要があるだろう。

[TIME]6
[FOOD]6
[TOOLS]0
[ALIEN]3

TIME7

…Hunker Down/5

なんてことはない。保存食品を隠していた倉庫が火星人に壊されていたことなんて。そこから零れだした食品のほとんどが赤い草に覆われていたことなんて。
空元気を出して、倉庫から離れた。あいつらは思ったより近くにいるようだ。家を捨てて遠くに逃げたっていいのかもしれないが、逃げた先がもっと絶望的な状況である可能性は十分にある。
キャットフードの缶詰がかろうじて無事だったが、私は何を思ってこんなものをしまい込んでいたんだろう。犬を呼びつけて缶詰を開けると、尻尾を振っておとなしく食べていた。健気な子だ。

[TIME]7
[FOOD]4
[TOOLS]0
[ALIEN]4

TIME8

…Hunker Down/4

家の中に閉じこもっていると、不気味なほど静かだ。例の三本足の作業機械がアスファルトを穿って移動する音が、妙に耳につく
もともと、田舎というのは騒がしいものだ。カエルとかフクロウとか、季節に応じていろいろな生き物が騒ぐ。あの種々さまざまの騒がしさが、今は恋しい。
……作業機械の足音が、日に日に近づいてくる。

[TIME]8
[FOOD]4
[TOOLS]0
[ALIEN]5

TIME9

…Hunker Down/4

脅威が迫っていることを知らせる野生のカンがそうさせているのだろうか。犬は屋外に出ようとしない。私は少しの缶詰を犬と分け合って、尖った耳を撫でながら時間をつぶした。
あの足音が近づくと、犬の横顔がじっと緊張する。それを眺めていると、なんだか悲しくなる。本当はもっと呑気で、朗らかな犬なんじゃないかと思えてならない。

[TIME]8
[FOOD]4
[TOOLS]0
[ALIEN]6

TIME10

その日は突然やってきた。
犬が高らかに吠えて、外に飛び出した。

いつのまにか機械の足音は止んでいた。
私はわけもわからず犬を追いかけた。火星人に見つかったら危ないと思った。それは私も同じなのに、おかしな話だ。
待って、と叫ぼうとしたとき、川辺の土手までたどりついて視界が開けた。

河原にはびこっていた赤い草が枯死している。真っ黒に干からびて黒ずみ、よじれている。
それは火星のものだったのだろう。そして、火星のものはほかにもあった。
あちこちに三脚の機械が倒れ、銀色の腹を夏の太陽の下に晒していた。壊れたコックピットからは、緑色に腐って腐肉の膜をまろびださせた巨大なタコのようなものが漏れ出ていた。それはテレビで何度か目にした火星人の姿で、そしてその姿ももう見る影もない死体だった。

夏の風が吹き渡る。
背の高い草花がなびいてさわさわと鳴る。
黄色の花が光の中で揺れている。
河原にはいつしか息を吹き返したらしい、セイタカアワダチソウが生えそろっていた。
視界の中の、あらゆる火星のものは死に絶えて、緑の草花が根を張り、太陽を浴びている。
それはまるで、地球が火星に打ち勝った証のようにも見えた。
火星は地球を求めたが、地球は火星を拒んだのだ。

犬が元気よく吠えて駆け出した。
私は笑って、昨日こっそり考えていた犬の名前を大声で呼び、揺れる尻尾を追いかけて走り出した。

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