Princess with a Cursed Sword:ミシェル姫と7つの試練

Princess with a Cursed Sword:ミシェル姫と7つの試練 プレイログ

ゲーム概要

Princess with a Cursed Swordは、タロットカードとコインを使用してお姫様の苦難に満ちた冒険譚を紡いでいく1人用RPGです。

基本的におとぎ話を書くような筆致で、三人称で描くことになっています。

このプレイログについて

このプレイログは、「Princess with a Cursed Sword」を2人でプレイした時の記録です。
ぱむだがゲームのインストラクションやプレイ環境の準備、プロンプト解釈の提案などを行い、描写部分を執筆しました。メインプレイヤーである李もなかさんがシチュエーションの判断や意思決定、主人公であるミシェル姫の発言などを執筆しました。

ぱむだが執筆した部分はこの色で表示されています。大部分はメインプレイヤーの決定や宣言、相談の結果などを反映したものですが、ジャーナル公開の際に独断で付け加えた部分もあります。

ミシェル姫のイラストはこちらを使用しました。→くろまとメーカー

導入

15歳になったミシェル姫は、王族の子息・子女が皆15の歳に受けることになっている「剣の試験」を受けることになりました。
怪しく輝く「試練の呪いの剣」に手を伸ばし、掴むと、その剣と自分が一体になったのを感じます。
試練を終えるまで、この剣を手放すことはできないようです。

(サンダルか何か履きたいな……)

と、ミシェル姫は思いました。
剣の試練を受ける者は、皆裸足。そして、儀礼用のガウンを着るものと決まっているのです。
しかし、石造りの「試練の迷宮」に踏み込むと、いよいよ足が冷たくて仕方ありません……
どこかでサンダルを見つけることにして、姫は試練の迷宮の重き門を開きました。

冒険

1:Justice

大アルカナのプロンプト…荒廃した神殿、古代の儀式、祭壇、生贄、墓、虚ろな声、神々の注目。
タロットの解釈…正しき判断を求める問答

試練の迷宮の入り口には、王家の祖が用いていた祭壇が置かれています。
成人の試練を受けるために現れた王家の若き末裔を見定めるべく、興国王マテウスの亡霊が暗闇に立ちます。

「汝に問う。汝に罪びとを見定める器のありや、なしや」

それは、王としての決断力を問う言葉だったのでしょうが……
ミシェル姫は、興国王のおぼろな姿を見て答えます。

…1 coin toss
…tail(失敗)

「興国王様、私は罪人を見定める器では御座いません」

「今世では罪人を王家の一存で処する事はなく、法の僕としての誓いを立てた者が処する世にございます。
私達王家も、道を誤れば民草に裁かれることになりましょう」

姫の言葉に、厳しく強きいにしえの王は明らかに機嫌を損ねます。

「……王は国家なり」

重々しい言葉にも、ミシェル姫はひるみません。

「国家ではありましょう。しかし民草が泣く国で王家だけが立った所で意味はありませぬゆえ」

「弱き王は、王たりえぬ。弱き姫は、ただ贄となり忘れ去られる」

「弱き姫よ、試練の道のりを歩むがよい」

重い音を立て、石壁が開いていきます。
そう、これこそが王家の試練の迷宮の入り口だったのです。

ミシェル姫は試練の剣を手に、その先へ踏み込みました。

2:Page of Sword

Swordのプロンプト…白亜の宮廷、突然の騒音、影と幽霊、危険な高さ、恐ろしい彫像、刃。
タロットの解釈…不安定な状況に対し、冷静に、柔軟に備える

ミシェル姫を恐ろしい轟音と喧騒が取り囲みます。
この大広間は、遠い昔の戦の時代を忘れられないようです。
戦い、殺しあう兵士たちの幻影が、石造りの大広間のあちこちで無限に繰り返されています。

これが試練の道のりなら、この大広間にも何か仕掛けがあるに違いありません。

ミシェル姫は静かに大広間を見渡し、備えます――

3:King of Wand

Wandのプロンブト…暗い大広間、呻く樹、たいまつの光、大きく口を開けて待ち構えている穴、輝く魔法陣、暗闇の奥に見える眼、鍵のかかったドア、歯、火。
タロットの解釈…エネルギーと直感が関わる試練

戦争の幻影の源を見極めようとするミシェル姫。
その周囲に、恐ろしい鬼火が色とりどりに燃え上がりました。

骸骨の馬を駆る指揮官が、ミシェル姫の前に立ちます。

「真なる王ならば、その眼光にて戦を退けて見せよ」

どうやらこの鬼火の中に、幻影の源となるエネルギーが隠れているようですが……
間違った鬼火を攻撃すれば、姫は手痛いしっぺ返しを食らうでしょう。

…2 coins toss
…head & tail(成功)

(こういう鬼火って、一番良く燃えているのは囮だったりするものよね。そうなると、この源になりそうなものは……あれかしら?)

ミシェルは一番良く燃える鬼火の少し後ろ、静かにチロチロと燃える鬼火を剣で突きました。

鬼火は渦を巻くように一瞬だけ燃え上がり、そして消え失せました。

夢から覚めた朝のように、広間を満たす兵士と戦馬の姿はもう跡形もありません。
薄闇に満たされたホールに、兵士たちの歓喜の声がこだまします。

「王は戦を制せり!王は戦を制せり!」

……大きな扉の向こうに、暗い廊下が続いているようです。

4:The Empress

大アルカナのプロンプト…荒廃した神殿、古代の儀式、祭壇、生贄、墓、虚ろな声、神々の注目。
タロットの解釈…愛と豊かさに満ちた、富の象徴たる黄金の農地

廊下の先に、突然光が溢れました。
ミシェル姫は、風の渡る丘に立っていました。
黄金の小麦畑が地平まで広がって風に波打ち、重い実をつけたブドウ畑が丘のふもとに並んでいます。
そこは紛れもなく、豊穣の神に愛された農地でした。

ミシェルは幻だとは分かっておりましたが、立ち止まって辺りを見回しました。自国の農地もこれくらい実りがあると嬉しいなぁとも思いました。

5:three of cups

Cupのプロンプト…生い茂る庭園、深い水、這う蔦、超自然的な動物、奇妙な夢、失われた魂、あなたの影。
タロットの解釈…収穫の喜びを分かちあう祝祭

賑やかな音楽が聞こえてきます。村の人々は収穫祭の真っ最中のようです。
祭りのために掲げられた聖印に、白く輝く鳥が留まりました。
鳥は光を受けて飛び、空を旋回して、ミシェル姫の肩に留まります。

「御遣い様が乙女を選ばれた!」
「あの子が収穫の乙女だ!」

農民たちが、ミシェル姫のもとへ駆けつけます。

…1 coin toss
…tail(失敗)

いきなり走ってきた農民達に驚いたミシェルは、後ずさりしようとして石につまづいてしりもちをつきました。いつもならば起こり得ないような状況に恥ずかしくなりながら立ち上がって「ごめんなさい、すこし取り乱してしまいました」と素直に謝りました。
普段ならば民に頭を下げる機会はほぼありません。しかし、今回はそうした方がいいのではなかろうかと自分の勘が囁きかけてきたのです。こういう時は勘に従うとそれなりになんとかなる。ミシェルの経験則からの判断でした。

農民たちは優しく助け起こしてくれましたが、かわす笑いはどことなく生暖かいようです。
姫は農民たちに教えられながら豊穣の神への奉納の儀式を終えましたが、統治者の威厳を示すことはできませんでした。

農民たちが引き上げていき、陽は沈んでいきます。
眩い実りの太陽が翳るとともに、農地の幻は薄れ、姫は試練の遺跡に立っている自分に気づきました。

ミシェル姫は今、暗く静かな三叉路に立っています。

6:Ace of Sword

Swordのプロンプト…白亜の宮廷、突然の騒音、影と幽霊、危険な高さ、恐ろしい彫像、刃。
タロットの解釈…揺ぎ無く強力な権力の象徴

姫が向かった道は、何もかもが白い大理石から切り出され整えられた、荘厳で美しい庭園に続いていました。

その庭園には、驚くほど大きな、白亜の彫像がたたずんでいます。
それは三代目の王、栄華の女帝メディエスの姿を模したもののようです。

ミシェルは、普段見たことがない大きさの彫像と庭園を見回しました。もしかしたら先程のように何か起きるかもしれません。心構えを今のうちにしておこうと内心で思いながら。またうっかりでしりもちなどついていられませんので。

7:The magician

大アルカナのプロンプト…荒廃した神殿、古代の儀式、祭壇、生贄、墓、虚ろな声、神々の注目。
タロットの解釈…ビーム!

その時、重い音が響きました。

ゴゴッ…

なんということでしょう。メディエスの彫像が、動きだしました。その純白の手に握られた宝杖が掲げられ、その先端に光が集まります。

眩い光が致命的な破壊力を含み、そして一本の光条(レーザービーム)となってミシェル姫へ飛んでいきます。

…2 coins toss
…head & tail(成功)

ミシェルは持っていた剣を咄嗟に眼前へと構えました。呪いの宝剣という謂れはありますが、持ち主に死をもたらすことはないとも伝えられています。
きっとこの光条に対しても効果があるはずです。

ミシェル姫が油断なく構えた剣が、メディエスが齎す裁きの光条を断ち割り、霧散させました。

「みごと」

彫像が、柔らかな女性の声で語ります。

「打ち負かされざる者こそが王なり。それがいかなる力であっても、力では立ち向かえぬものであっても」

ミシェルは明らかに「何かあります」を前面に出してきていた庭園に思うところは色々ありましたが、言葉をまとめるよりも先に進んだ方がいいのかもしれないと思い直しました。

8:Judgement

大アルカナのプロンプト…荒廃した神殿、古代の儀式、祭壇、生贄、墓、虚ろな声、神々の注目。
タロットの解釈…空に続く階段

あたたかな大地を、姫の素足が踏みしめました。

晴れ渡る青空に続く光の階段が、姫の目の前に現れます。階段の先は、美しい光を纏う白い雲の中へと消えているようです。

ミシェルは先へ進む事にして、注意深く階段を登っていきました。

9:Six of Cups

Cupのプロンプト…生い茂る庭園、深い水、這う蔦、超自然的な動物、奇妙な夢、失われた魂、あなたの影。
タロットの解釈…懐かしい思い出に出会い、その光景から何かを受け取る試練

穏やかな王宮の庭園の風景が、雲の上には広がっていました。
一人の女の子が、小さな女の子に白い百合の花を手渡しています。
ミシェル姫は、その二人に見覚えがありました。

(私とエイラねえ様だわ)

子供の時分に姉から花をもらった事がありましたが、目の前のような光景だったなと思いだしながら眺めることにしました。

エイラ姫は妹が百合を受け取ってくれたことが嬉しかったようで、年相応に無邪気に笑っています。

10:Queen of Coins

Coinのプロンプト…ボロボロの旗、古い図書館、粉ひき小屋、奇妙なアーティファクト、マントを着た盗賊、籠に入った⿃、守られた宝物
タロットの解釈…姉であるエイラ姫の偽りのない慈愛から王族の魂を学ぶ

そうして、妹であるミシェルにエイラは穏やかに微笑みながら言いました。

「綺麗なお花よね。ミシェル、このお花は庭師さん達が大事に大事に育てあげたものだから、庭師さんに会ったらお礼を言いましょうね」

姉の言葉に、自分は「はぁい!」と大きく返事をして、にっこりと笑いました。

王族の魂が、どのようにあるべきなのか。
姫は、すでに答えを得ていました。

懐かしい風景は過ぎ去って、古びた遺跡の光景が周囲に広がりました。
試練は、終わりに近づいているようです。
姫の行く手には、年月に朽ちてなおも荘厳な石柱を配した、広々とした柱廊が、まっすぐに続いています。

11:Ace of Cups

Cupのプロンプト…生い茂る庭園、深い水、這う蔦、超自然的な動物、奇妙な夢、失われた魂、あなたの影。
タロットの解釈…愛を受け渡す、王族としての始まり

ミシェル姫の行く手に、影がたたずんでいます。
それが自身の写し鏡であることを、姫は当然に知っていました。
影は憎悪もなく、敵意もなく、ただ満ち溢れる愛とともに影の剣を構えます。

ミシェルも当然のように剣を構えましたが、それは戦うための構えというよりも騎士に位を授ける儀を行うものの構えでした。

定められた儀式そのもののように、二人の剣は自然と交わります。

…2 coins toss
…head & tail(成功)

一度目は剣同士が触れる金属音が辺りに響きました。ミシェルはその音に怯まず、影の肩を持っていた剣の腹で軽くぽんと叩いて言います。

「汝、影の民よ。そなたを騎士に命ず」

略式でも叙勲は叙勲です。

影は姫の足下に控え、恭しく首を垂れました。
影の剣が、影の肉体が、姫の剣からこぼれる光の粒と混ざり合い、風に掻き消えるように消えていきます。

憎悪で紡がれる歴史は、いずれ戦の炎の中へ消えていく。打ち負かした者にこそ、愛されなければならない。
ミシェル姫は、それを知っていました。

12:The star

大アルカナのプロンプト…荒廃した神殿、古代の儀式、祭壇、生贄、墓、虚ろな声、神々の注目。
タロットの解釈…希望、可能性、知識の化身たるトキからの問いかけ

両開きの立派な扉が、姫の到来を待ち、ひとりでに開いていきます。
ここが、儀式の祭壇がある部屋のようです。

試練の呪いの剣を納めるべき『鞘の祭壇』が、その広い部屋の中央に置かれています。
祭壇の前には架台が置かれ、そこにはトキが一羽、白い羽を閉じてとまっていました。

「汝に問う」

トキは冷たく静かな声で、ミシェル姫に呼びかけます。
それは知られざる叡智の象徴。知識の神の先触れです。

ミシェルはいよいよやってきた儀式の間に「よし、やるぞ」と意気込みながら足を踏み入れて、トキに向かって「はい」と返事をします。

「試練を齎す呪いの剣は、一つの儀式をもって汝の手より離れる。
 それは契りの儀式である。
 汝は、その剣に誓いを立てなければならぬ。その魂をもって、誇りをもって、運命をもって、守り抜くべき堅固なる誓いを」

「汝に問う――それは、いかなる誓いであるべきか?」

ミシェルはその問いに対してふむ、と考えます。
よくよく噛み砕いて考えてからその答えを口に出しました。

「私の誓いは民の為にこの国を今より明日、明日より明後日と発展させていく事です。その為に私が出来る事は惜しまず尽力する事……です!」

ミシェルはトキに向かって元気良く言いました。

「今の王国は雨雲と太陽を頂き伸び盛る若木。王たるものは不惜身命にてそれを導くが責務」

トキは重々しく告げました。

「是なり。七つの試練は成れり。若き王族よ、契りの儀を終えよ」

そして、薄紅の羽を一枚落とし、トキは飛び去りました。

ミシェルはトキを見送って、安心しかけましたが。まだ儀式は終わっていません。
気を取り直したミシェルは、事前に聞いていたように剣の先で指先をちょいと傷つけて血を出してから剣の台座にポタポタと垂らした後。持ってきていた剣を台座に差し込みました。

王族の血を刃に伝わせ、呪いの剣が台座に納まります。
試練の終焉を告げるようにその台座が輝き、そして姫の周囲に光の紋様が現れました。
姫の足が冷たい石の床から浮き上がります。
帰還の時が訪れたのです。試練の迷宮はこれにて閉ざされ、次なる若き王族の訪れを待つのでしょう。

こうしてミシェルは成人の儀を終えて、元気良く城へと戻ってきました。
それから、トキと剣に誓ったように明日明後日のより良い暮らしのため尽力していったのでした。

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